テルミン : 特集
不思議楽器の暗黒面とその仲間たち
■■■■■イントロダクション■■■■■ 編集部
両手を空中にかざし、空気をつかんだりちぎったりするようにして弾く、世にも不思議な楽器テルミン。映画ファンなら、その音色はヒッチコックやティム・バートンの映画などで、知らず知らずのうちに耳にしているはず。無論、音楽の世界でもレッド・ツェッペリンやビーチ・ボーイズ、日本ではコーネリアスやゴンチチなどの人気バンドに愛されている他、あのハンニバル・レクター博士までもが(小説「ハンニバル」の中で)その腕を披露しているという、まさに“知る人ぞ知る”存在なのである。
この、世界初の電子楽器の生みの親である天才科学者レオン・テルミン博士と、その愛弟子にして希代のテルミン奏者であったクララ・ロックモアに関するドキュメンタリーが日本でも公開された。どう考えても“珍品”に分類されるこの映画は、公開されること自体が奇跡のような代物だが、関係者も驚くほどの大ヒットを記録しているという。
音楽映画のドキュメンタリーといえば、一昨年の「ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ」が記憶に新しいところだが、共産圏が舞台となっている点や、アーティストたちが老人になってから再評価されたという点など、実はこの2作品には共通点が多い。
しかし、この2作品は音楽的には決定的に違う。「ブエナ・ビスタ~」で奏でられる音楽が“陽”なら、「テルミン」のそれは“陰”である。そもそもテルミン博士は、KGBとともに盗聴器や軍事レーダーの発明や開発に携わった経験もある怪しい人物だし、この楽器が使用される映画は、ホラー映画とか宇宙人が登場する映画ばかりなのである。ここでは、映画の中では語られない、テルミンのダークな側面を少しだけ掘り下げてみた。また、“幻の電子楽器”と呼ばれるテルミンの親戚筋にあたる楽器もついでにご紹介してみようと思う。
※テルミンの音色を聞いたことがない方は、予告編をご覧になってからこの特集をお読み下さることをお薦めします。
(4MB/Quick Time)
ムービーの再生にはQuickTime4が必要です。