めぐりあう時間たちのレビュー・感想・評価
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時間の不思議
「長い一日」ってあるものだ。何気なくすごした一日はあっさり過ぎてしまうんだけど、自分にとってとても意味のあった日、大事なことがあった日っていうのは、とても長かったって、感じる。
この映画の中にでてくる時間は、3人それぞれの「長い1日」だ。
「運命のいたずら」という言葉がある。この作品では、ウルフに「あの人を殺さなかったから代わりにあの人に死んでもらう」といわせていたが、何かがこうでなければ・・・という可能性はいくらでもある。誰かの気がちょっと変わっただけで、他の誰かの運命が大きく変わることもある。信じられない奇跡的な時のめぐりあいを経て、私たちは今自分の周りにいる人たちと一緒にいるといえるかも。
それにしても~今回は3人の女優、配置が絶妙!
ニコールは’20年代の英国、J・ムーア、フィフティーズのLA、そして現代のNYはやはりM・ストリープ。ぴったりでしたね~
時間と記憶を巡る複雑にして稀有な作品
とても複雑な構成。冒頭で描かれるのはダロウェイ夫人を書いた作家のヴァージニア・ウルフが死を選ぶシーン、そして彼女の遺書。そして詩人のリチャードが父母と過ごす場面、母のローラはダロウェイ夫人を読んでいる。そしてリチャードと以前つきあっていたクラリッサは、その名からダロウェイ夫人とからかわれ、彼女は編集者としてリチャードとつながりを持っている。リチャードは病み、希死念慮を抱きつつ生きている状態…。時間も場所もさまざまな彼らは、希死念慮という共通点をもつといってもいいだろう、クラリッサはそれを抱くリチャードと向き合いつつ、その状況にもう耐えられないと感じている。
ローラは、夫にこの暮らしが幸せの理想形だと強調されますます苦しみに囚われる。違う、これじゃないと感じつつそこに居続けるもどかしさ、自由がないと感じる息苦しさ、そして本当に欲しい愛はこれじゃないという疑念、そこから彼女が何を選択するか。詩人リチャードは母やクラリッサを自分の本にどう描いたか、また彼には何が見えていたのか、何が彼を苦しめ、そして支え、どの瞬間が彼にとっての最愛の貴重な時間だったのか。現代を生きるクラリッサにとっても同様に。時間と記憶を巡るストーリーはかなりぶっ刺さるので、思い入れが強くなる。
現代を生きるメリル・ストリープが演じるクラリッサの周囲の人物は、恋人のサリーに元恋人のリチャードと、ダロウェイ夫人をなぞらえているかのよう。でもリチャードというよりピーターでは?と思うので、あえてなのかな、なぞらえすぎないように。彼はピーターでもありセプティマスでもあるわけだし。
ヴァージニア・ウルフの遺書は世界一美しい遺書と言われているけど、彼女の遺書には愛の言葉はない。幸せだったことと優しさへの感謝とはあるけれど。クラリッサはサリーと暮らすがそこに愛はあるのだろうか、傷を舐め合い時間を共有しても、愛は過去にしかないのかもしれない。そこを突き詰めナーバスに捉えることには苦しみもあるけれど、鈍感が正しいとも思わない。
観客を選ぶ映画だ。好きな人にはたまらないだろう。
METで上演された同名オペラの口(目?)直しに、DVDを借りてきて鑑賞した。やはり、名作だ。
作家ヴァージニア・ウルフやその代表作「ダロウェイ夫人」が好きな方にとってはたまらない作品だろう。また、予備知識なしにこの映画を鑑賞しても何を言おうとしているか分からないと思う。私も元ネタの「ダロウェイ夫人」を読んでいるとき、よくわからなかった。人間の心の動き(メンタル疾患を含む)を味わう映画で、根底には死への誘惑と生の渇望がある。おまけにバイセクシュアルも絡んでくるからややこしい。改めてみて、挿入される音楽が素晴らしい。現代音楽作曲家のフィリップ・グラスが担当している。R・シュトラウス辞世の歌が使われ効果的だった。やはり、原作者の原作本「めぐり合う時間たち」を読んでみなければと感じた。
自分で解釈したい人向き
大正のLON、終戦後のLA、現代のNY、三つの時代の無関係な三人の女性の生活が同時進行で進みます。
三人にどういうつながりがあるのか、関係がありそうにもなさそうにも思えますし、様々な設定が何故必要なのか?どこにどう話としてつながるのか?知恵袋に質問多く、回答も様々です。
つまり、それぞれ独立した三つの話の関係性や、何のためかよくわからない設定なんかに、理屈つければ説明できるかも?というタイプの作品なので、「自分で想像するのが好き派」の人は自分なりに解釈して面白いと感じるんでしょう。一方、「はっきりしてくれよ派」の人は、「その解釈こじつけじゃねえ?」ってなります。
換言すれば、よくも悪くも普通の人には「何いいたいのかよくわからないの」作品なので、好き嫌いがハッキリ別れます。評論家なんかにはウケるんでしょうが、一般受けはしません。
話の展開が早いのでそこそこ面白いですけどね。
女も死にたい。女たちの紡ぐ物語。
男性です。
男はみんな死にたいと思っています。
「死にたいと思ったことは一度もない」と言った男には、僕は今まで1人にしか会ったことがない。
この映画を観て初めて知ったのは
「女も死にたいと思っている」ということ。
知らなかった。
女はそんなことは考えないんだと思っていた。
世界が180度回転した、記念碑的な映画体験となりました。
・・・・・・・・・・・・
3大女優が、3時代の3つエピソードを担当するのが良い。
成功している。
3人を同時に登場させてお互いに絡ませる等の無駄遣いをしないシナリオは良く考えられている。
1941年の女流作家ニコール・キッドマンは姪に魂を引き継ぐ
(一緒に小鳥を弔った姪子)
姪は
1951年にこの小説にはまり生死を行き来する。そして
姪が産んだ娘が
2001年エピソードのメリル・ストリープその人だ。
メリルは同性のパートナーと暮らし、また娘を生んでいる。
命を生み出す女たちが、こんなに身近に死を想い、生死分け目の尾根に生きていたとは、僕にとって驚きの体験でした。
男においては命は単発。継承はされない。
ところが本作品、女たちは時代を隔ててばらばらなようで、こんなに有機的に死と命と、そして一冊の「女の生涯」で繋がっている。
本当に僕にとっては初めて覗いた新しい世界だったのですよ。
原作を読んでいませんが、原著をググるとその筋書きが、3人それぞれ、その日1日のプロットになっていることが判明します。
このレビューも鑑賞してから1年かかりました。
僕の母親の死生観について、あれこれ彼女の生きざまのエピソードを、いま大切に思い出しているところです。
オスカー俳優の競演
映画館ではリピート割引という企画があった。そのくらい何度も観なきゃこの映画の良さがわからないよ!と挑戦状を叩きつけられているような気がしてムカついた。ニコール・キッドマン演ずる作家ヴァージニア・ウルフが入水自殺を図るシーンからスタートするが、自殺を中心とした「死」をテーマにするのなら、自殺が美しいという結論に達するものと受け止められる。ジュリアン・ムーアのストーリーもエイズ患者と向き合ったメリル・ストリープのストーリーも素晴らしいものであるから、このサンドイッチの構成には疑問を抱いてしまいます。
3つのストーリーがラストで有機的に結びつくのだと予想していたのだが、そうしたファンタジーの要素が全くない硬派の映画という印象でした。役者の演技は素晴らしいが、オスカーを獲得したのがキッドマンだけというのも納得いかない。エド・ハリスやジョン・C・ライリーの影で支える演技が好きだった。
【映画館にて】
理想の女性像を追い求め
時代の変化を感じさせる見事なストーリー構成。3つの異なる時代だが、次第に女性の権利や自由が認められるようになっていくという流れはとても良かった。女優も三人ともオスカー受賞の名演技出し、死というものを通じて女性が自分らしさを追い求めるとてもいい濃厚ないい映画やた。
最高に好きな作品
日常の小さな出来事が、心を傷つける。でも明るく前向きに、自分の人生を見つめる。
3人の女性の人生を描き、繋げる演出は芸術的。
沢山の選択があるからこそ、自分で選び進まないといけない、そう覚悟させてくれる映画です。
266-58
2017年最後。
ヴァージニアウルフについて勉強している身なので多少は知識がありましたが、とにかく難解でした。異なる時代で異なる人が自分の生き方をしていこうともがく話でいいのだろうか。いつの時代も自分が自分として生きていくのは並大抵の努力でどうにかなることではないのだと学んだ。
ニコールキッドマンとジュリアン・ムーア、はまり役だったと思います。
(映像3 脚本4 演出3 音楽2 配役5)×4=68
大きく浮上するために、大きく沈みたいときに。
どうしようもなく不幸な気分で、寄り添ってくれる何かを求めている時に観たくなるような映画。
冒頭から、鈍い痛みをずっと与え続けられるような、底無しに少しずつ沈んでいくような気分になる。
人生に望むことをわかっていない、もしくはぼんやりと解っていたとしても上手にそれを求めて生きる術を持っていない。
だから人の期待に流されるままに生きてしまった。
そんな女性達のお話。
でも、少し視点を変えると、不幸に依存して安心を得ている。
実は幸せな生き方、と、見ることも出来そう。
登場シーンは少しだけれど、キュートなクレア・ディーンズのちょっとした優しさにとても癒される。
全体的にネガティブな雰囲気の内容だからこそなのか、子供達の笑顔や思い遣りがとても光って見えて印象的。
病んだ女性たちの映画。登場人物のほぼほぼ全員が病んでいるので、こっ...
病んだ女性たちの映画。登場人物のほぼほぼ全員が病んでいるので、こっちまでおかしくなりそう(笑)世の中、病める人間ばかりということか、そういや実家の隣のおっさんも…やめておこう。
登場人物の心情は正直全く理解できない。女性なら共感できるのだろうか?女性はわからん。だからモテないんですね(笑)
本作で学んだこと。病める女性は女性に激しく接吻する。
女優陣の演技がお見事。作品を重厚な雰囲気に仕立て上げている。
明るく元気に過ごしたいものです。
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