「未来を変えられない惨めさと悔しさが残ってしまう、忍耐の時代」ターミネーター3 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
未来を変えられない惨めさと悔しさが残ってしまう、忍耐の時代
総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 75
演出: 80
ビジュアル: 85
音楽: 70
物語は全体的に暗い。どう頑張っても機械の反乱・支配と核戦争を人類はとめることが出来ない。それはもう未来がそうなっているから今更変えられないという、運命論によって物語が決定付けられているからである。今更じたばたしてもどうにもならないというところに、なんとなく諦めというか無常感が漂う。
でもそうしないと物語の整合性がなくなって第四作が作れないんだろうね。そのためにターミネーターの迫力や怖さというよりも、今回はひたすら耐えるばかりの惨めさが滲み出る。そもそも最初の設定が、未来は機械との戦いで押されていて人類はかろうじてレジスタンス組織を作って抵抗しているに過ぎないのだから、だんだんと暗黒の時代になってきているし雰囲気も悪くなる。
そして犯罪者として追われ続けるジョン・コナーは、まるで天敵に怯えながらこそこそと隠れて生きる鼠のように小さくまとまってしまった。物語の過去の繋がりを考えればそれは仕方ないし当然のことであるのだが、どうにもしょぼい人物像に落ち着いている。しかも助けに来たターミネーターに未来の世界で殺されたときた。コナーの相手役のケイトも役どころは平凡。敵のT-Xは女性型人造人間になって革の服に綺麗な体型を包んでまあまあだったかな。
予算は豊富であることがわかる。特にクレーン車で暴走する場面の派手さはすごい。これだけで随分と金が飛んでいったろう。対核防空壕の美術なども大掛かり。しかしだんだんと連作を重ねるたびに質が落ちていて、特に今作はちょっと最後に未来を変えられない惨めさや悔しさが残ってしまって見終わったときに爽快な気分にはならないが、それでも金のかかった活劇映画として楽しめました。