「アナキンの気持ちが痛いほど、わかるから泣けてしまった。」スター・ウォーズ エピソード3 シスの復讐 はるさんの映画レビュー(感想・評価)
アナキンの気持ちが痛いほど、わかるから泣けてしまった。
評価:★★★★★ 95点
『スター・ウォーズ EpisodeⅢ シスの復讐』
新3部作最終章であり、銀河がシスの帝国に支配され、アナキン・スカイウォーカーがダース・ベイダーとなるまでの物語であり、旧3部作の主人公である息子"ルーク・スカイウォーカー"の誕生までが描かれる。 『episodeⅧ 最後のジェダイ』が公開される前にスター・ウォーズシリーズの中で最も好きな作品を紹介。
エピソード3はスターウォーズファンの間で、賛否が非常に分かれている作品であり、主人公アナキンの心の弱さからの行動に、納得が出来ないという意見も多数ある。
だが、そんなアナキンの気持ちも理解でき、映画の中でベスト10に入るほど私はこの作品が大好きなのである。
さて、今作はすでにアナキンがダース・ベイダーになるとわかっていての作品となるので、彼がなぜ暗黒面に堕ちていくのかの過程が描かれる。
ジェダイには未来をかすかに予言できる能力が備わっている。そこに付け込み、アナキンは夢で恋人が死ぬ夢を悪の親玉シディアス卿にひたすら見続けさせられてしまうのだ。
この夢が現実になることを恐れたアナキンは、恋人を救いたく、周りのジェダイに助けを求めるものの彼の求めた答えは誰からも返ってこない。
そんな時にシディアス卿に私の部下になれば彼女を救えると、言われたらどうだろうか?
彼は産まれた頃から奴隷であり、母親と共に暮らしてきたが、その母親は拷問され殺されてしまう。
そんな時、彼の精神状態を保つことが出来るのは恋人だけであろう。その恋人がいなくなってしまったら、彼の世界は壊れてしまう。
よって彼は世界の平穏よりも、彼女を選び、闇に堕ちることを選択する。
だが、闇に堕ちたアナキンは既に優しき彼ではなかった。
力による渇望で、抵抗するものを殺し、ジェダイとなるべく子どもまで皆殺しにしていくのだ。そして、怒りに任せ、恋人にまで暴力をふるうことになり、ラストは師匠であるオビ=ワンVSアナキンの壮絶な戦いが繰り広げられる。
結果的に彼の行動全てに救いようがない。最も平和を望んでいたはずが支配することとなり、恋人との永遠を誓っていたはずが闇に堕ちたことで失ってしまう。気付いた時には彼は悪につくしかなかったのだ。
フォースにバランスをもたらす予言の子は闇に囚われ、悲しき"ダース・ベイダー"となるのであった。
師弟での「I hate you」「I loved you」は当時小学生ながら、目に焼き付き、マグマに焼かれるアナキンを前にした時、涙がでてしまった。
ダースベイダーとして、生命維持の為の仮面をつけ、起き上がる瞬間の悲しき音楽。1人の命を救いたかっただけなのに、なぜこうなってしまったのだろうか。この作品単体で観ると切なすぎる映画史上最悪のバットエンド作品であろう。
少し感情が出過ぎしまったようで。
今作の構成はアナキンの心情の描きこみ不足もあるが、冒頭の宇宙での戦艦バトル、ヨーダvsシディアス卿、そしてジェダイの滅び、エピソード4に繋ぐ為の全てを謎を回収し、ファンとしてはお腹いっぱいである。
個人的なオススメシーンは、3のアナキンが悪(シス)に堕ちる瞬間と、6のダースベイダーが正義(ジェダイ)に戻る瞬間を見事なシンクロで描いている箇所である。
総評とし、3はスターウォーズの世界観全ての繋がりである為、3を観ずにスターウォーズは語れない。鑑賞後は少し憂鬱か気持ちなるかもしれないが、次の4の新たなる希望がある事を忘れず、エンドロールを迎えることができるであろう。
こんなにも心揺さぶられる映画はない。
オススメです。