スーパーサイズ・ミー : インタビュー
モーガン・スパーロック監督インタビュー
編集部
――実験の対象になったマクドナルドや大手のファーストフード企業から、圧力はかかりませんでしたか?
「マクドナルドは、『この映画は重要ではない。現実的でない』といったコメントを出し、事実上、無視に近い形を取った。だけど、そうは言いつつ、彼らは実際にスーパーサイズをメニューから廃止したし、世界的規模でサラダを売り込み始めた。だから、意識してないとは言っても、本当は意識してるんじゃないかと思うよ」
――映画作家としての監督について伺いますが、同じドキュメンタリー作家としてマイケル・ムーア監督をどう思いますか?
「僕は彼のことを以前から尊敬しているし、ファンでもあるよ。とても刺激を受けているし、また、彼の『ロジャー&ミー』や『ボウリング・フォー・コロンバイン』といった作品があったからこそ、僕の『スーパーサイズ・ミー』もこうして世界各国で観てもらえるようになったと思っている。彼の功績は、ドキュメンタリー映画にも娯楽性がありえるということ、そして興行会社や配給会社に、ドキュメンタリー映画でもお金は儲かるんだといういうことを証明したことだね」
――他に影響を受けた作家はいますか?
「昨年のアカデミー賞でドキュメンタリー部門を受賞した『フォッグ・オブ・ウォー』のエロール・モリスや、僕が最高のドキュメンタリーだと思っている『ブラザーズ・キーパー』という作品を撮った、ジョー・バーリンジャーとブルース・シノフスキーという2人にもとても触発されているよ。ほかにも、フランク・キャプラ、エリア・カザン、スタンリー・キューブリック、ブレイク・エドワーズ、ハル・アシュビーといったドキュメンタリー以外の映画監督にも、影響を受けているね」
――今後もドキュメンタリーを撮り続けるのですか?
「もちろん、そう思っているけど、次回作はちゃんと脚本のある映画を撮ってみたいと思ってるんだ。その後またドキュメンタリーを撮りたいと考えているんだけど、おかげさまでこのところとても忙しくて、なかなか将来のプランを立てる時間がないんだ」
――では最後に、もう一度マクドナルドを食べたい日がくると思いますか?
「映画の中で、100人の栄養士に『こうした食事はどの程度食べても大丈夫ですか?』という質問をしたところ、ほとんどの人が『1カ月に一度程度』と答えた。それは決して、ケンタッキーを1回、マックを1回、バーガーキングを1回ということではなく、そういったファーストフードは月に1回ということなんだ。そこから逆算してみると、僕は(1カ月に1回食べるとして)8年分のマックを、この実験の1カ月間で食べてしまったわけなんだ。だから、2012年になれば、もしかしたら食べるかもしれないね(笑)」