ステルス : インタビュー
続けて、「ワイルド・スピード」「トリプルX」とスピード感あふれるエンターテインメントに定評のあるロブ・コーエン監督に最新作について語ってもらった。
ロブ・コーエン監督インタビュー
「私は『トップガン』の大ファンなんだよ」
聞き手:編集部
戦闘機アクションといえば、トム・クルーズをスターダムに押し上げた「トップガン」があるが、それ以外に例は少なく、ジャンルとしても難しいもの。あえてこの分野に挑んだことを監督は次のように語る。
「現在の人類が地上で最も速く移動するための手段が、ジェット戦闘機だと思うからだ。宇宙を除けばね。それが理由のひとつ。もうひとつは、私自身が『トップガン』の大ファンだからだよ。なぜ『トップガン』が好きかといえば、もちろん戦闘機アクションであるからでもあるが、あの映画では戦闘機のアクションは全体の20%程度で、残りの80%は素晴らしいストーリーやキャラクターが語られているからね」
監督がそう語るように、本作では大迫力で展開されるアクション以外にも、感情や痛みを伴わない無人戦闘機が、人間にとってかわって戦争を行うということに対して、疑問を投げかける。
「現にアメリカ軍には既に無人パイロット機が存在するし、これからもどんどん進化していくだろう。人間というものは、戦争をしていて多数の死傷者が出て初めて『もうやめようじゃないか、話し合おうじゃないか』と、交渉の場を持とうとするもの。もちろん、戦争なしで話し合うことが一番良いに決まっているのだが、それが現実だ。アメリカ軍がこのまま無人戦闘機の開発を進めていけば、そうしたある種の戦争抑止のためのチェック機構のようなものもなくなってしまうだろう」
映画の中では、主人公の3人のパイロットは、それぞれ人工知能を搭載したステルス戦闘機“E.D.I.(エディ)”に対して、三者三様の態度を示す。
「私はジョシュ・ルーカスが演じたベンの意見に近いね。生死に関わるとき、最後に決断するのは人間であるべきだからだ。どの動物よりも、モラルの面で進化している人間がね。コンピュータは情報の処理は速いかもしれないが、最終的な決断の中には、道徳というものが必要だ」
そうしたシリアスなテーマ性を含んではいるものの、本作がエンターテインメントであることには変わりない。難しいことを抜きにしても、スピード感溢れる戦闘機のアクションシーンは見物だ。「ワイルド・スピード」「トリプルX」、そして本作と、次々にスピード感を増していくコーエン監督だが?
「スピードに対する満足感は、もうくるところまできたという思いがあるよ。だから今度やる映画では、そういったメカニカルなスピードではなくて、新しいスピード感をみせようと思うんだ。例えば、ひとりの人間の一生を2時間の映画で見せる場合、2時間の中にどれだけ多くのことを盛り込み、観客に満足感を与えられるかというようなね。次の映画はキアヌ・リーブスを起用したシンドバッドの物語なんだけど、その辺りを考えているところなんだ」
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