「共感できる身近な悩める主人公」スパイダーマン Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
共感できる身近な悩める主人公
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 65
演出: 80
ビジュアル: 80
音楽: 65
アメリカのスーパーヒーロー物というと、単純に強い正義の味方が悪者と戦って倒すだけというものを想像しがち。最初はそんな先入観もあって敬遠していたのだが、スパイダーマンとこのシリーズの2,3は思っていたよりも全然違うものだった。
主人公は冴えない学生。特に勇気があるわけでも頭がいいわけでも運動能力が高いわけでも精神力が強いわけでもない。それまでのアメリカのスーパーヒーローのように普段の隠れ蓑としてわざと冴えない人物を演じているのではなく、本当に冴えない人物である。
その主人公が偶然に特殊能力を身に付ける。しかしその能力を身に付けて人々のために良かれと思って行動しても、人々に理解されなかったりして必ずしも思い通りにはならず苦悩する。スーパーヒーローは他人から理解されない孤独とも一人戦わなければならない。ヒロインとの関係も友人との関係も思い通りにはならない。このあたりはスーパーヒーローというよりも、普通の高校生なのである。
この映画を見ていると、アメリカのスーパーヒーロー映画というよりもまるで日本の漫画のような設定なのである。アメリカも単純な完全正義と完全悪との戦いという伝統の構図を捨てて、もっと複雑で現実的な弱さを抱えた悩める主人公というものを目指しているように思える。このあたりを見ていると、ハリウッドもかなりマーケティング調査なり勉強をしたのかなというのが伺える。だから主人公に共感したりする部分も出てくるのかなと思う。
そのようなかんじで物語は良かったし映像も良く出来ていた。だがあまり登場する役者には魅力を感じなかったのは残念。