劇場公開日 2007年4月16日

「死に向かって邁進する映画は初めてだ。」海を飛ぶ夢 JYARIさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0死に向かって邁進する映画は初めてだ。

2020年1月9日
PCから投稿

主人公がいきなり、悲観的だ。
死にたがっている。
しかし、それは彼の誇りのための死だという。

印象的なのは、尊厳死反対派のキリスト教徒との議論。反対派は
「命を代償にする自由は自由ではない。」
しかし、主人公はこう言い返す。
「自由を代償にする人生は人生ではない。」
それが正解とは言い切れないのが人生であり、その答えを求め行く旅が人生だと個人的には思っている。

「命は自らの所有物ではない。」
この言葉に私は最も感銘を受けた。自分で所有していると思っているのが間違いだと。
なるほど。この命は親のもの。友人のもの。社会のもの。地球のもの。大きなものに所有されているとしたら、生きていく責任はぐっと重くなる。

私個人としては、安楽死には賛成である。
大賛成である。
今の私には、死んでいい理由は見つかるが、生きることを義務とする理由が見つからない。
”生きる義務”
それは私には重すぎる概念であり、憂鬱にさせる一つの原因にもなりうる。
簡単にいうと、そう思いながら生きていくのは、しんどすぎる。
社会の一部、ほんの一握りの恵まれた環境で生きる人間でない限り、常に生き生きと生活するのは難しいんじゃないかと思っている。
そして、死という選択が頭をよぎった経験をほとんどの人が持ち、それらの人々は尊厳死を認めると思う。

まずそういう経験をしてしまう人々が最小限になるような法律を定めたあとで、
尊厳死は認めないと言ってほしい。

JYARI