「終始ドラッギーでくらくらする((+_+))」スキャナー・ダークリー 初台験さんの映画レビュー(感想・評価)
終始ドラッギーでくらくらする((+_+))
フィリップ・K・ディック原作の映画は相当作られてるけど・・・
これは今までの中で一番原作に忠実な映画化じゃないかと思う(^O^)/
まずロトスコープっていう、実写で撮影した絵をなぞってアニメーションにするという途方もない手間がかかる手法で作ってることで、この話の持つドラッギーさがうまく表現できてると思う。
麻薬中毒者が体中虫が這いずり回る幻覚を見るところから始まるのは相当なインパクトがあって(・∀・)イイ!!
その後の会話も頭がおかしくなってるから、何を言ってるのか全然的を得ないという、観てる方が混乱してくる(;´∀`)
麻薬取締官のボブ・アークターが人前に出る時に着るスクランブルスーツという被り物を着て、常に色んな人間の顔が入れ替わるスーツを見せることでさらに混乱度合いは倍増(;・∀・)
その上司ですらお互いの素顔がわからないという徹底ぶりで、こんなスーツを着た奴が2人もいたらもう何が何だか(-_-;)
実はそのボブ自身が「物質D」という超強力な幻覚作用をもたらし、末期になると自分が誰なのかさえもわからなくなるという麻薬を常用していて、捜査官なのにその中毒患者である自分を監視しているという設定には頭が・・・((+_+))
急に意味不明な言動をとったり、急に目の前の人物が虫に変身したり、自分で自分を監視する任務と言い、さらにそのスクランブルスーツと言い・・・さらにこのロトスコープの映像を掛け合わせるとそりゃあ観客の頭もちんぷんかんぷん(@_@;)
麻薬中毒患者と共同生活をしているドナという女がいて、実は彼女こそがボブの上司で物質Dの出所を捜査している捜査官。
物質Dを製造しているのは麻薬中毒患者の更生施設の「ニュー・パス」という事実を突き止め、そこには中毒患者しか入れないため、ボブを利用してそこに送り込もうとしていた。
ところがドナも自分が誰に利用されてるの分からない。
ボブはニュー・パスに送られて農場で作業をしていると、青い小さな花を見つける。
もう脳に障害を持ってるボブには全く自覚がない。
これは確かどこかで見た覚えが・・・
施設の仲間にこの花を送ってやろうと思って靴下の中にそれを入れる。
つまりこの青い花こそが物質Dの原料。
果たしてこれで物質Dの製造元として摘発できるのか・・・
ここで映画は終わり。
観てるだけでくらくらするし、頭がこんがらがってくる。
長い映画じゃないんだけど、中毒患者同士の怠惰で要領を得ない会話を聞いてるともう・・・(-_-;)
この映画は単館上映だったらしいけど、薬物中毒の恐さを世の中に知らしめる上でも価値がある映画だと思う。
万人にはお勧めできないけど、見た目も中身もここまでドラッギーな映画は観たことない。
大傑作です( ゚∀゚ノノ゙パチパチパチ