劇場公開日 2006年1月14日

「ただの恋愛映画なのにこれほどに格調高く同時に瑞々しい」プライドと偏見 Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5ただの恋愛映画なのにこれほどに格調高く同時に瑞々しい

2013年9月29日
PCから投稿
鑑賞方法:TV地上波、CS/BS/ケーブル

知的

難しい

幸せ

総合85点 ( ストーリー:85点|キャスト:90点|演出:85点|ビジュアル:85点|音楽:75点 )

 同じジェーン・オースティン原作の「いつか晴れた日に」も良く出来た秀作だったが、この作品も同等かそれ以上に良い出来合い。当時の社会制度や家柄や家族のしがらみがあって、お互いに誤解し反発しあいながら、徐々に相手の本質を見極めていく過程が、純文学作品らしく格調高くも決して堅苦しくはならずむしろ瑞々しく新鮮に描かれている。よくよく考えればただの恋愛映画に過ぎないのに、二人の感情の反発しそして交差して行く姿に引き付けられる。物語に加えて出演者の演技と演出の出来が良いからだろう。
 早口で聞き取りにくいが、近年のアメリカ映画の気軽さと全く異なる、その当時らしい格調高い英語の科白の言葉使いもまた作品の質感を高めている。そして英国の田舎の美しい風景と貴族の生活を再現した美術とそれを最大限に引き出して映す撮影技術にも感銘を受けた。
 主人公エリザベスを演じたキーラ・ナイトレイの演技力は確かなもので、見事に当時の閉鎖された女性に厳しい社会に生きる一人の聡明な女性をしっかりと表現していた。私にはあまり馴染みのない俳優だが、最初は無愛想で高慢さを出しながら後に誠実な本質を見せるダーシーを演じたマシュー・マクファディンも悪くない。軽薄な母親と妹たちがのさばる家族の中で、一人深い理解力を示す父親のドナルド・サザーランドの存在も主人公と作品を支えている。

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Cape God