劇場公開日 2003年7月26日

「何だよこれつまんねーよ!って思ったけど、この主人公には、自分を重ね...」パンチドランク・ラブ saikimujinさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0何だよこれつまんねーよ!って思ったけど、この主人公には、自分を重ね...

2015年4月20日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

何だよこれつまんねーよ!って思ったけど、この主人公には、自分を重ね合わせて見てしまい、親近感が湧いた。
彼は明らかに精神疾患の持ち主。
鬱なのか何なのか知らんけど、あの怒りっぽさは異常。で、それは自分にも言える…
自分も凄く怒りっぽくて、キレると止まらない…あまり人前では切れないけど、アップダウンも激しいし…鬱持ちだし…最近は落ち着いてるけど…
どうやら当時のPTA監督も鬱だったらしく、何かそういう所、伝わってきた…
急に暴れたくなる衝動とか、すごいわかる。事実、この映画を見た日は嫌な事があって、天気も悪くて、湿気90パーセントとかでジメジメしてるし。帰りの電車はいつに無く混んでるし。全てファック!!死ね!みたいな。何に怒ってるのか自分でも不明。しかも7人の女兄弟のイライラとかも、わかっちゃう…姉と妹と母の四人の家族構成だから、女ばかりでうるさい感じ。わかる…そういう意味ではどハマりだ。

といったかんじで、映画自体はやっぱりつまんないと思うし、好きじゃない事に変わりはないんだけど、主人公の精神状態には、同類意識を感じるぜって感じだ。
なんかアレだね、デイヴィッド O. ラッセルの「世界に一つのプレイブック」みたいだね。あの監督もキレる病気持ってて、あの映画の主人公も突然キレるからね。躁鬱病なのかな?

これは恋愛映画なんだけど、暴力と愛が入り混じる。
冒頭の車の横転の後にすぐさま謎のピアノの出現。そしてすぐに彼女の出現。
全てが咄嗟。横転する車にはたぶん特に意味はなく、ただ突発的な暴力の象徴で、それは主人公の突発的なキレと重なる。ピアノは幸運の象徴。ピアノが彼女を呼んだ、みたいな感じ。

テレフォンセックスカンパニーの話は、監督が実際にそういう所で働く女から聞いた、本当の話らしい。プリンの話も、本当にそれをやったおっさんがいたらしく実話らしい。

PTA作品の魅力って、詰まる所、解釈のしきれなさ、だと思う。それはたぶん監督本人も、解釈しきれてない。様々なエレメント(多数の役者や、物語に直接的には関係ないと思われる演出)を入れることで、その映画について考察する余地をたくさん残す。そういう手口な感じ。そのために変わったユーモアとかもいれる。そのへん、やはりコーエン兄弟に似てる。

saikimujin