パンチドランク・ラブのレビュー・感想・評価
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不思議なおとぎ話
アダム・サンドラーを追う
恋するパンチドランカー
プリズミックな色彩感覚に優れた切り絵のようなジャケットが目を引く。それはお伽話の一場面のようだ。本作はキレやすく情緒不安定な男のちょっと変わったパンチドランク・ラブストーリーである。混乱したバリー・イーガン(アダム・ドライバー)の心象風景により,観客も混沌の渦に巻き込まれる。軸はシンプルなラブストーリーなのだが,そこにテレフォン・セックスが絡んでくる展開が可笑しい。ポール・トーマス・アンダーソン監督の作品は一筋縄にはいかない。安いプリンを買ってマイルを貯め,海外旅行に行く話も,テレフォン・セックスの元締めディーン・トランベル(フィリップ・シーモア・ホフマン)からイーガンがしばかれる件もなんだか現実感がない。しかし,掴みどころがなく,浮遊感に満ちているこの映画にリアリティがないという批判は当たらない。この映画は社会不適合である主人公が夢幻と現実を往復するなかで,恋を成就させていくすてきな物語なのである。その不器用で可憐な心理は現実に深く根差している。監督は,本作を「当て書き」したという。この物語はアダム・サンドラーのもので,代替不可能な作品に仕上がっている。
ラブイズパワー
【七人の口煩き姉を持つシスコン”プリン”情緒不安定男の、憂鬱と恋を面白く描いたコメディ映画。ポール・トーマス・アンダーソンの脚本が冴える作品である。】
ー 「マイレージ・マイ・ライフ」はこの作品を参考にしたんじゃないかな・・、と思ってしまった作品である。
しかも、資料によると、劇中でも語られている通り、プリン製造会社が”間違って、マイレージをプリン代金よりも価値が高い設定にしてしまっている事(事実であるらしい・・)を根底に置きながら、それをメインテーマとすることなく、情緒が可なり不安定な男、バリー・イーガンが真の恋に陥る過程をストレートに描いた点が奏功している作品だと思う。-
■気の強い姉たちに囲まれて育ち、女性不信に陥ったバリー・イーガン(アダム・サンドラー)。
そんな彼だったが、姉エリザベスの同僚リナ(エミリー・ワトソン)と惹かれ合うように。
次第に心の距離を近づけ合うバリーだったが、なんとなく利用したテレフォン・セックスのサービスをめぐるトラブルに巻き込まれる。
◆感想<Caution! 内容に触れています。>
・シスコンにより、情緒不安定だった男、バリーが真の恋心に目覚めて行く姿をコミカルに描いた作品である。
・ポール・トーマス・アンダーソン監督が、その過程を面白くも切なく、描いている。
ー バリー・イーガンが満たされぬ思いを、テレフォンセックスに求めるシーンも何だか可笑しい。一々、口座を(個人情報である!)怪しげな相手に教えていく過程。
駄目じゃん!と思いつつ、可笑しく見てしまう。そして、彼が不器用だが、真面目な男である事が分かるのである。ー
・姉のエリザベスに紹介された、そして一度会っているリナへの想いが募って行くシーンは、”こいつ、不器用だな!けれど、良い男だな!”と思いながら観てしまったよ。
ー 漸く、一緒に食事をしたのに、一歩を踏み越えられず、店のWCを壊してしまう・・。ー
・で、テレフォンセックスの連中から拉致されつつも、”初めての飛行機で”リナに会いに行くバリー・・。
<不器用だからこそ、通じた恋心。
何だか、ホンワカしてしまったぞ!。素敵なラブストーリー映画であると思います。>
マイレージ、ちゃんと貰えるといいねー!
始まりはまたも長いトレーラー横切り。これ好き。
仕事してのかと思ったらそうでもないようなちょい派手スーツの男。コメディアン俳優なのか。
思い込みに生きる?男女の出会い
騙す方も騙される方もアホなテレフォン風俗との攻防、ワルグループは顔がそっくりな四兄弟
何もかも嘘っぽくて安っぽいテレビドラマのコメディみたいな作品、気楽に楽しめる。
この世の中なんでもあリー!どんなことも起こりうる!!ということをいつもおもいしらせてくれるアンダーソン監督だけど、風俗詐欺犯罪は普通にあるだろうけど今回の恋する2人のありえなさ、彼等の存在のありえなさ(軽さ??)は、なんかファンタジー?夢の話だなって感じ。冒頭のいきなり車がすっ飛んできてピアノならぬハルモニウムがクライマックスかも。
それでも、PTアンダーソン!!
唐突な展開が意味不明
現代のおとぎ話
<うろ覚え/思い出しレビュー>
過去に、たぶん二、三回鑑賞。
この映画、95分だったのね(もっと長く感じる)。
あと、☆3.4か、、、(当時の)評論家&ライター受けはけっこう良かった気がしたんだけど。万人受けしないってことね。
私は、たぶん初めて観た時から、好きです。現代のおとぎ話だと勝手に思ってる。
上述のように、あまり95分の短さを感じさせない(=テンポがかったるい)ところはあるし、雰囲気が独特なので人を選ぶかもしれない。
けど、すごくかわいい映画です。
7人の姉にからかわれ、虐げられて育ったせいもあるのか、キレやすく情緒も不安定なバリー。 でもある日、理想の女性(たぶん)と出会い、海外出張中の彼女に会うためにマイレージ連動型のプリンを爆買い。かと思いきや、いわゆるセクシー電話でカード詐欺に遭い、詐欺の元締めと直接対決に挑む、、。
たぶんちょっと(設定が)年上だと思うんだけど、ヒロインに母の愛を感じます。彼女もたしか傷を抱えていたと思うし、病んでいるのがバリーだけではない、というのがいいですね。病んだ現代のためのおとぎ話。ベッドでちょっと猟奇的な発言してましたしね、ヒロイン(笑)
オフビート
あんなに不安定で大丈夫なの?
こころの音色
くすぶってる男が恋することで強くなる話
音楽が主人公の心理と同調するように奏でられていて、イライラすれば荒々しく、落ち着いていれば静かな旋律で話が進んでいく。
音でビックリさせる演出が数回あり、音に敏感にならざるをえない中、情緒不安定な主人公とともに映画を見る自分も不安になってしまった。
音楽だけでなく色合いやカット割りも独特でどことなくお洒落な雰囲気で目も耳も程よい刺激で包まれる。
日々を坦々とこなしつつ、密かに野望を抱いている主人公アダム・サンドラーが時に頼りなく、時に力ずよく、危うい精神状態を上手く演じ、監督の力で作品全体が一定の調子に抑えられていて見やすいように感じた。
平凡な男の怒りが爆発する展開は「フォーリングダウン」を思わせたが、現実じみた報復だったので安心した。
自分も少なからず野心は有る、それこそ劇中の主人公のような世間からすればちっぽけな。だが自分にとっては案外大事でいつか今の生活を変えれると信じている。
この映画はそう考えている人に少しだけ勇気をくれる作品だと思う。
劇中セリフより
「俺は力がみなぎっている、一生に一度の恋でとてつもなく強くなっている」
恋愛によって勇気と力が湧いてくる、正義は我にあり。
最初を踏み出す勇気は何処から来るのか・・・
あれこれ考えるより、出来ることから行動に移そうと思いました。
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