劇場公開日 1957年

「【完璧な筈だった、競馬場売上金強盗計画が徐々に綻んでいく様を、時系列を絶妙に行き来しながら描いたノワール映画】」現金に体を張れ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0【完璧な筈だった、競馬場売上金強盗計画が徐々に綻んでいく様を、時系列を絶妙に行き来しながら描いたノワール映画】

2022年1月25日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

怖い

興奮

知的

ー 前科者のジョニー・クレイが5年振りに刑務所から出所し、競馬場の金庫から200万ドルの強奪を画策する。入念に立てられた計画は5人の仲間と共に実行に移されるが、仲間のひとりであるジョージの妻・シェリーが計画を盗み聞きしていたことから、事態は思いも寄らない方向へ進んでいく。ー

・面白いのは、ジョニー・クレイが分け前の金で釣った、借金まみれの警官、競馬場のバーテンダー、窓口係の気弱なジョージ、射撃の特異なマイクの役割が、事前に観る側に明かされない事である。

・ジョージの妻シェリーの悪女っぷり。ジョージから計画を聞いたシェリーは彼女の愛人バルにその話をし・・。
 - 壁に耳あり、障子に目あり・・。-

・ジョニー・クレイの計画に加担した、そしてそれを横取りしようとした愚かしき人々の顛末。

・計画実行時の、淡々と時を告げながら、各人の役割を述べるナレーションの見事さ。

<シニカル極まりないなラストシーンも見事な作品である。
 キューブリックが、今作を弱冠28歳の時に制作した事にも驚く。
 彼のハリウッドデビュー作品。>

NOBU