「ペリカンありき。帰路が不可解。」ファインディング・ニモ movie mammaさんの映画レビュー(感想・評価)
ペリカンありき。帰路が不可解。
公開当時は、迷子探しか〜と全然興味がなかったのに、子持ちになったらとっても観たくて。
マーリンが息子ニモの行動をセーブさせたがるのは、最愛の妻とニモ以外に400近くいた子供達を一瞬で亡くしたことを思えば当然だと思う。どれだけ自責の念に駆られたことか。そして1人で子育てするために再び再起するためには、同じ悲しみを2度と繰り返したくないという強い動機と誓いがあったのは想像に容易い。
でも恐らく過去についてなにも知らされていないニモ、男の子だしやんちゃ盛り。ダイバーに連れ去られてシドニーにあるヤブ医者歯科医の水槽へ。
手がかりの住所を元に探し続けるマーリン。
ところが一緒に行動することになるドリーは健忘症の魚。しかもデフォルトのテンションがお気楽。
でもこれが思いつめたマーリンには良かったんだろうな。
そして出会うウミガメのパパ友クラッシュ。
カクレクマノミと同じく、天敵に減らされる前提で一度に大量に子が産まれるし、絶滅危惧種の種類だが、クラッシュはたとえ危険そうでも子供の意思を第一に尊重する。子供が良いなら良いかと。
マーリンからしたら、また家族を失うのではと思うと先回りしてあれこれ制約をつけてしまう発想、よくわかるのだが、制限してたら子供が何もできなくなるからまずはやらせてみないと、という発想に、ニモを探しながら少しずつ転換していく。これが話の肝。可愛い子には旅をさせよ。を訴えかける作品。
ただ思うのは、子供に重視して教えるべきは安全のために制限する事よりも、危機管理の観察眼や機転、片方のヒレが小さいハンディキャップをカバーできる泳ぎ方、諦めない精神力だったのでは?水槽の中のギルが、親がニモに教えていなかった大切な心の持ち方の部分を教えてくれている。
そして、流れの速い海流に乗ってやっとシドニーに着いたのに、ヒレが傷ついたニモを連れてどうやって戻ったのか激しく不可解。