「親子の絆に涙腺崩壊。アニメーション史に残る傑作。」ファインディング・ニモ たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
親子の絆に涙腺崩壊。アニメーション史に残る傑作。
人間に連れ去られた息子を探すカクレクマノミのマーリンの冒険を描いた海洋ファンタジーアニメ。
「タンク・ギャング」のリーダー、ツノダシのギルの声を演じたのは、『アメリカン・サイコ』『スパイダーマン』のレジェンド俳優ウィレム・デフォー。
「タンク・ギャング」の友人、ペリカンのナイジェルの声を演じたのは『恋におちたシェイクスピア』『パイレーツ・オブ・カリビアン』の、オスカー俳優ジェフリー・ラッシュ。
👑受賞歴👑
第76回 アカデミー賞…長編アニメ映画賞!
第31回 アニー賞…長編アニメ映画賞!
第9回 放送映画批評家協会賞…最優秀アニメーション作品賞!
子供の頃に観て以来、久しぶりの鑑賞になります。日本語吹き替えを選択。
本作の主人公マーリンの日本語版声優にとんねるずノリさん、バディのドリー役に室井滋。
毎回驚くのがピクサーの声優のチョイスのうまさ。
普段声の仕事をしていない人から選んでいるのに、ピッタリの配役なんですよね。
これってどうやって選んでるんだろう?素直に気になります。
久しぶりに観賞したわけですが、マーリンに感情移入してかなり泣きました😢
間違いなく、子供の頃に観た時よりも面白かったです。
映画の冒頭、いきなり残酷な食物連鎖の描写が描かれます。
この一連のシークエンスがあることで、マーリンの過保護、心配性、臆病、視野狭窄という性格に納得性が生じ、物語の具体性が強調されています。
何よりこの場面、マーリンの心の痛みと、ニモを守るという覚悟がヒシヒシと伝わってくる感動的なものとなっており、映画開始直後からどっと泣けます。
人間に攫われてしまったニモを探すマーリン。道中で本作のバディであるドリーと出会います。
このドリーというキャラクターは記憶障害を持っており、直前の行動すら記憶しておく事が出来ない。家族と離れ一匹で行動する彼女の過去は本作では語られません。
冒頭のシークエンスのように、残酷な現実が彼女にも降りかかったのか、単純に家族とはぐれてしまったのか。そこは観客の想像に任されています。このような、キャラクター像を説明しすぎない姿勢が個人的に好きです。
ただ、このドリーのキャラクター設定。
ニモを探すために文字を読める魚を探さなくてはいけない。…実はドリーが読めました。
クジラと出会い飲み込まれてしまった!ピンチ!…ドリーはクジラ語が話せました。
といったご都合主義の化身のようなキャラであり、ここはもうちょっとスマートに描けないものか、と思ったりはしました。
マーリンが必死でニモを探すのと同様に、囚われているニモもただ助けを待つのではなく、自ら行動して運命を変えようとしているところが良い。
マーリンの武勇伝が噂となって海中を広まっていくという発想も感動的。
クライマックスのとってつけたようなピンチはいらなかったかなとは思いますが、ヴィランが登場しない冒険活劇という難しいテーマを非常にうまく、感動的に表現しており、優れた作品の多い初期のピクサー作品の中でも、特に素晴らしい一作であると思います。
海中をCGで描くという、おそらく当時は誰もなし得なかった事を実現しているピクサーの技術力に拍手👏