「スピルバーグ嘆きの映画」ミュンヘン odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
スピルバーグ嘆きの映画
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東京オリンピックを控え気になるテロ事件ものと知って観る気になったがテロは冒頭だけでその後の報復がメインなので見当違いだった、加えて、ダニエル・クレイグが出ているからと言って007並みのスパイアクション映画を期待すると見事に裏切られる。
ミュンヘン・オリンピック(1972)で起きたパレスチナのテロ組織「黒い9月」によるイスラエル選手団襲撃事件とその報復工作を描いている。原作ジョージ・ジョナスは実際の元モサド工作員から聞いた話を基に書いたと言っているが真相は分からない。報復の暗殺部隊はモサドの精鋭ではなく面の割れていないセミプロ級を集めたので手際の悪さに疲弊する、実際に人違いで一般人を殺す悲劇もあったらしいが映画ではネグられている。ユダヤ系のスピルバーグだから原作に興味を持ったのだろうがアメリカで平和に暮らす彼から見たらテロと復讐の連鎖に一言「虚しい」と言いたかったのだろう。客観性を持たす為かパレスチナ人の言い分まで盛り込んではいるが映画ごときでは解決しないことはスピルバーグ自身も分かって作っていたのだろう、歯切れの悪い嘆きの映画になってしまった。
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