「空が血で染まる時」ミュンヘン everglazeさんの映画レビュー(感想・評価)
空が血で染まる時
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元となった小説の題名は"Vengeance"
内容そのまんまです。
ミュンヘンオリンピックの惨劇への報復を命じられる主人公。当初は、娘のため、祖国のためと身を投じたものの、最後は死神に取り憑かれた脱け殻のようになり、結果的には家族を危険に晒すことになってしまいます。
パレスチナとイスラエル間だけでなく、民族の独立を掲げた過激集団が世界中にあることを、改めて気付かされます。みんな自分の祖国/独立国家が欲しいし、同胞・家族を守りたい…自分の家族が助かれば、他人の家族は犠牲になっていいのか、他人の生命を犠牲にして自分の家族を養っていいのか。善悪は立場と状況により入れ替わり、終わりの見えない報復の世界です。豪勢な食事の支えは何なのか…何度か描かれる豪華な食卓のシーンも印象的です。
最後の911を彷彿させる終わり方もいいです…が、対立するどちらかが報復を止めただけでは、この戦争は終結しません。
そして何かと政治利用されてしまうオリンピック。
この期間くらい、国境を越えた清々しいスポーツマンシップだけを堪能したいです。
今では007のイメージが強いCraigの、陽気でおしゃべりなムードメーカーというキャラがちょっと新鮮でした。Banaは渾身の演技。
長いけれど、見応えたっぷりでした。
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