「計画上出来ても実行は出来もしないことを簡単に出来ることにされても」ゲーム Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
計画上出来ても実行は出来もしないことを簡単に出来ることにされても
総合50点 ( ストーリー:30点|キャスト:70点|演出:75点|ビジュアル:70点|音楽:65点 )
わけのわからない何かのゲームに参加すると、主人公の行動は全て予測され雁字搦めに搦め捕られていく。一体どれだけ完璧な何かがいればここまで完璧なことを出来るのか。そして最高に幸せな人とか素晴らしい人柄だとは言わないまでも、成功した投資銀行家の彼は何故このような目にあうのか。
私は最初は宇宙人か悪魔のような存在が背後でこの行動をしているおちなのかとすら思った。それほどの存在でないとこの行動の理由が説明できない。主人公の周囲にいる知人・同僚・家族・友人といった演技の素人たちが彼を騙すために何故か一致団結して情報漏れ一つなくみんなが疑われることのない失敗1つない完璧な演技をして、仕掛ける側が完璧な仕掛けをして、さらに主人公が完璧にその筋書き通りに動いた場合のみにやっと成功する話なのに、それが当然のように成功する。
この作品の前後に制作されたデビッド・フィンチャー監督の他の作品の『セブン』も『ファイトクラブ』も同様なのだが、彼は物語の最後のおちを作るためにはそこにたどり着くまでの過程を重視しない傾向がある。実際にどうやったらそんな計画が遂行出来るのかなんてことは考えないから、凄い行動をどうやって実行したのかを作品中で種明かしして見せようと最初から考えもしない。彼が「これは出来たことにする」と考えれば、それが現実に出来ないことでも出来たことになってしまう。不合理なことが起きたとしても、結末を見せるためにはその途中での不合理なことは当然のこととして起きて結末へと流れをつくる。突飛なことや計算外のことや失敗は何一つ起きないというあり得ないことが出来てしまうのが前提である。だから私は最初はこんなことをするのは宇宙人か悪魔のような、何か人ではないものと思った。
そのため私のようにこの背景には何がどうなっているのかを理論的に考えて物語の流れや背景を推察しようとする人にとって、実際には出来もしないことをさらっと出来たことにされると呆れてしまう。もし主人公が想定外の行動をして、用意されたものではなく本物の銃を実際にどこかで手に入れて誰かを撃ったり自殺でもしたらどうするつもりだったんだろうね。
でも絶対に主人公は筋書き通りに動くのだろうし、何の失敗も問題もなくゲームは終了すると最初から作品内では予定調和で決まってんだろう。そしてこれで素晴らしいおちのある脚本が出来て観客を騙せたと思ってんだろう。だがこんこなとが出来るのが前提ならばどんな脚本だって書ける。馬鹿馬鹿しい。演技・演出は悪くないしそのような途中の緊迫感を楽しむ話なのだろうが、結末のおちがわかったときにこのご都合主義の展開にはいらいらした。