LOVERSのレビュー・感想・評価
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【”飛刀の遣い手の傾城の美女、二人の男を愛し愛され、そして。”今作は唐の騒乱の時代に翻弄されつつ、二組の男女の愛を抒情性高く華麗なる剣劇も交え描いた作品。梅林茂の美しい劇伴も趣を与えている作品。】
■王朝が衰退を始めた9世紀中頃の中国。世間では飛刀門なる反乱軍が民衆の支持を得て勢力を拡大していた。飛刀門のリーダーの拘束を命じられた捕吏のリウ(アンディ・ラウ)とジン(金城武)は、遊郭で遊ぶ中現れた稀代の盲目の美女、小妹(チャン・ツィイー)の美しい舞に、魅了される。
だが、彼らは彼女は飛刀門の一味ではないかと疑念を抱き、小妹を試すのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・冒頭の遊郭、牡丹坊での、酒好きのジンの前で小妹が舞った舞画の美しさに、まずは驚く。ワイヤーアクションも使用しているが、それ以上に小妹を演じたチャン・ツィイーの、細身の身体をしならせて舞う姿が、実に美しい。
それに魅入られたジンは、彼女の衣服を裂き、抱こうとするがリウに止められるのである。この理由は後半に分かる。
・彼女が、リウの前でも舞うのだが同様に美しい。小太鼓の上を走りながら舞うシーンは、クラクラする。
・そして、ジンは小妹を連れ、遊郭を逃げ出す。美しい竹林の中、追っ手を交わしながら逃げるうちに、ジンは小妹を捉える任務を徐々に忘れ、彼女に惹かれて行く。そして、小妹も同じなのである。
小妹が森の小さな池で水浴びをするシーンも美しい。
・そこに、リウが追っ手としてやって来るが、実はリウも飛刀門の一味であり、更には3年越しの小妹の恋人である事も明らかになるのだが、彼女はたった3日共にしたジンに心が映っているのである。
それが分かった時のリウの怒りと悲しみの表情を、アンディ・ラウが見事に演じている。
追っ手が迫る際の、竹林でのアクロバティックな剣劇も実に美しい。
<そして、ジンとリウは激しく戦うのであるが、リウは小妹に向け飛刀を放つのである。いつの間にか、雪が激しく降る中でリウは飛刀を自ら抜き、鮮血が迸る。
そして、ジンとリウも激しく切り合い、鮮血が雪表に散るのである。
今作は、唐の騒乱の時代に翻弄されつつ、二組の男女の愛を抒情性高く華麗なる剣劇も交え描いた作品であり、梅林茂が奏でる哀愁漂う美しい劇伴も趣を与えている作品なのである。>
見所は、小刀が竹に突き刺さるときの音だ!これは獅子脅しにも似たバンブービートだ。
『HERO』に続くチャン・イーモウの映像世界に魅了されました。ワダエミの衣装デザインも冴えていて、まさしく外国との交流が盛んだった唐の時代を象徴するかのようでした。『HERO』に見られた場面ごとの色のテーマも健在で、気に入ったのは遊郭の青のシーンと竹林の緑のシーン。この青と緑のイメージがラストの雪原のシーンへ上手く繋がり悲恋のストーリーを盛り上げるのだ。
そして、やはり、チャン・ツィイーが美しいぃ。もう男の目から見たら、これしかない。許してほしい。中盤の竹林で金城武が戻ってきたときに見せた涙はたまらなかったのだ(何が?)。
ちょっとやり過ぎ感が漂っていたのが小刀の舞い。ブーメラン以上の回転を見せ、4人くらい平気でやっつけちゃう威力。これが何度も出てくるので、途中から慣れてしまいました。
【2004年8月映画館にて】
愛と掟の狭間で
DVDで2回目の鑑賞(吹替)。
チャン・イーモウ監督のつくり出す映像美は素晴らしい。衣装と言い風景と言い全てが麗しいのです。女優の撮り方も上手いなと思いました。バンブーアクションも最高でした。
愛か掟か。揺れる男女の三角関係は、やがて悲しい結末へと向かう。雪原で繰り広げられるクライマックス・シーンがエモーショナル。いきなり雪景色になったのには驚きましたが…
※修正(2023/09/02)
心情を表す、背景の美しさ。
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