劇場公開日 2005年1月1日

「映画ってこのくらいでちょうどいい。「ありえねー」←描きたかったことでありであり、ワクチン。」カンフーハッスル 野球十兵衛、さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0映画ってこのくらいでちょうどいい。「ありえねー」←描きたかったことでありであり、ワクチン。

2024年6月16日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

楽しい

単純

興奮

過去に楽しんだ映画で、再び「何か私向きの作品はないかなー?」と思ってDVDコレクションを開きました。
そして「これだ!」とチョイスしたのが本作。
私の大好きな、なーんにも考えずに勧!善!懲!悪!のシンプルなストーリーを、胸のすくアクションでサクッと楽しめる映画。実に私向きです。
先日観直した『少林サッカー』も大変面白かったですし。

この作品で描きたかったことって、まさにメインビジュアルにでかでかと書かれている「ありえねー」だったんですよね。
そしてワクチン効果。
多少ご都合が過ぎようと、バカバカしくても「だ!か!らぁ!“ありえねー”って最初に言うてましたやん!」で押し通して行けるんですよね。←行けるかぁ?
お話の骨子の勧善懲悪が、わかりやすいにも度があるほどシンプルに作られていたんですよね。
加えて、起承転結がきっちりとわかりやすく描かれているので、大変観やすい作品だと思ったです。
ストーリーの深みだとか、キャラクターの掘り下げだとか、こういう作品にそんなの求めるのは野暮にも程があるって話です。
とにかくひたすら「ありえねー」を楽しむための映画です。
ワイヤーアクションが多用されすぎて白けても「迫力あるんやから、そんなん別にええやろ!」なんですよね。
主人公の謎の覚醒がいきなりでも「面白かったら、そんなん別にええやろ!」なんですよね。
実際面白いから何でも許してしまえました。
好きなシーンは“大声ババァ”が釣り鐘を使って、ラスボスに一矢報いるところのぶっ飛び具合とか。(てか、このラスボスってブルース・リャンだったんだ!wiki読むまでさっぱりわからなかったよ!)
主人公がラスボスとの決戦の場で、アパートの壁を自在に駆け巡りながら空飛ぶワイヤーアクションとかだったです。
まさに、作り事の映画じゃなきゃ絶対にお目にかかれないシーンの連発なんですよね。
こんな「ありえねー」の見せられたら、たいがいのことは許せちゃいます。
伏線が貼られていたとは言え、最後の戦いでいきなり覚醒して勝っても「これでいいのだ!」で済む話なんですよね。
だってありえないお話なんだから。娯楽映画って、そんなもんでしょ?このくらいの描き方でちょうどいいです。
ラストのほんわか幸せな締めも大変よかったです。できればここ、もう少し尺を取って描いてもよかたかな?と思ったりもしたのですが。
ただ、二個ね本当に惜しいと思ったこともあって。悪役が憎めなさすぎて懲悪成分がちょっと足りないなぁ…と思ったんですよ。
ラスボスですら、最後は頭を下げて「参りました(泣)」だったもんなぁ。
もっと徹底的な悪党に描いて、徹底的に懲らしめていればよかったのに。
もう一個はね、この作品に限ったことじゃないけれど、古い香港映画にありがちな衛生観念の欠如。
これだけは毎度生理的に受け付けないの。(°ଳ°)オエー!ってなっちゃうの。

野球十兵衛、