「臓器提供もののアクション版」アイランド(2005) ジョニーデブさんの映画レビュー(感想・評価)
臓器提供もののアクション版
臓器提供映画は暗くなりがちだが、この映画に関しては娯楽性の高いアクション映画となっている。
施設を脱出してからはハラハラドキドキの連続で最後まで飽きさせない。特にカーチェイスや空飛ぶバイクのシーン、ビルの看板から落ちるシーンなどはさすがマイケル・ベイだと感心させられる出来ばえだ。「私を離さないで」を見た時、どうして逃げないんだよ、と思ったが、こちらはそれを素直に実現してくれた。このような展開だと最後はハッピーエンドじゃなければ、救われない。
ただ、臓器提供の是非、生きる意味を深く考えさせてくれた「私を離さないで」と違って、良いか悪いは別にして、中盤からは娯楽アクション映画のように、考えずに感じる映画になってしまった。
気になった点が二つ、
一つはブラックホーク警備の黒人が最終的にジョーダン(スカーレット・ヨハンソン)を捕まえ車に乗せるが、彼が彼女の涙と手の焼印を見つめるシーン。もしかしたら、逃すのではないかと思った。しかし、結局施設に運ばれ解体されそうになる。体に隠していた銃で難を逃れるが、そもそも彼が彼女を捕まえた時に武器をもっているか身辺チェックをしなかったのは不自然である。後で彼女の味方をするので、あの時の焼印を見た時の表情はその伏線ともとれる。ただ、彼女が銃を持っていなかったら、解体され死んでしまったはずで、あの時の車の中のシーンは無意味となる。だったら、何らかの方法で銃は彼が彼女に渡したような設定が自然だったのではないか。
もう一つは、最後に二人がボートに乗ってハッピーエンディングとなるが、遠すぎて二人が彼らなのか認識できないくらい小さいし、時間も短すぎる。ズームアップにして幸せそうな表情を捉え、時間ももうちょっと長めにして余韻を残して欲しかった。
他にも色々とツッコミどころの多い作品であるが、スカーレット・ヨハンソンの美貌とマイケル・ベイ監督らしいアクションを堪能できた作品であった。