「普通の人間の悪役」Mr.インクレディブル ローチさんの映画レビュー(感想・評価)
普通の人間の悪役
様々な力を持ったヒーローが一堂に会して戦う映画は、アベンジャーズなど今では珍しくないが、それを家族にして描くというのが本作のユニークな点。家族であることで、日常生活描写にも重点が置かれ、ヒーロー活動と、日常生活が等価に描かれた点が新鮮だった。
本作で特徴的ななのは、悪役のあり方だ。ヒーロー一家は生まれつき特殊能力を持った超人だが、悪役はかつてヒーローにあこがれていた普通の少年だった人物で、テクノロジーの力でヒーロー一家に対抗しようとする。
生まれつきの才能のない者が才能ある者に挑むという構図なのだが、それが悪人側なのだ。日本の漫画だったらむしろ逆の構図のが共感されそうだが、お国柄によるヒーロー観の違いだろうか。
それからテクノロジーを駆使する悪役、というのは続編にも受け継がれている本作の特徴だ。技術の悪用を生まれつきのスーパーパワーで粉砕するという構図の物語を2作にわたって踏襲しているが、ただしく技術を使っていれば、悪役にならずにヒーローになれたのにな、などと個人的には少し切ない気分にもなる作品だ。
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