「実際のレースを見るような迫力」グラン・プリ Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)
実際のレースを見るような迫力
総合:70点
ストーリー: 70
キャスト: 75
演出: 70
ビジュアル: 80
音楽: 60
車載カメラからあるいは一緒に走る車から撮られたレースの迫力と体に突き刺さるようなエンジンの爆音の凄さ。この時代によくこれだけのものが撮影できたものだと思う。当時のF1レースを実際に撮影したりF1レーサーが登場して撮影に協力していたりしているようで、まさに本物のレースを見ているような気分にさせてくれる。アカデミー撮影賞も妥当なところだろう。でもレースに興味がない人にはどうでもいい映画かもしれない。
これは三船敏郎の初海外映画出演作でもあるそうだ。やたらと萎縮したり頭を下げたりする日本人像ではなく、その堂々とした立ち振る舞いは威厳があって、体格に勝る外国人俳優が横にいても全く見劣りしない存在感は流石のもの。当時はまだ日本なんて経済大国でもない戦争の敗戦国にすぎなくて、それでも和服などを堂々と正面から出して西欧の文化に対抗しようとしている態度の演技が立派だった。ついでに当時からすでにF1に挑んでいた本田も立派だった。
現代のF1レースと異なる部分が発見出来るのも面白い。例えばベルギーでは一般道路を封鎖してそのままレースを行っている。民家が道路のすぐそばにあり、見学者が道路のすぐ脇で観戦をしている。死傷者が出てもレースが中止にならない。ヘルメットや車からしてもう危なそう。車を収納している車庫に他人が侵入して写真を撮る。なんともおおらかというか、悪く言えば安全軽視というか。こんな時代だったんだなあと、当時のことがわかってとても興味深かった。
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