「【1967年公開作にて、F1レーシングを様々な手法で描いたハイレベル作品。取分け、死と接する日々を過ごすレーサー達と、彼らが愛する人の関係性の描き方が見事である作品でもある。】」グラン・プリ NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【1967年公開作にて、F1レーシングを様々な手法で描いたハイレベル作品。取分け、死と接する日々を過ごすレーサー達と、彼らが愛する人の関係性の描き方が見事である作品でもある。】
ー 今作の2分割~6分割した映像と、その後のカーレーシングに多大なる影響を与えたと思われる、地を這う様なスピード感溢れるカメラワーキングには圧倒される。
更に、当時ではドローン撮影など出来なかった筈の、俯瞰したレース風景とのミキシングにも驚く。-
■アメリカ人のF1レーサー、ピート・アロンは事故を起こした事によりチームを追われ、日本のヤムラチーム(ホンダさんだよね・・)と契約し、期待通りの強さでフェラーリのエース、サルティらとチャンピオン争いを展開。
いずれもプライベートで男女問題を抱えつつ、僅差のまま最終イタリアGPを迎え、劇的な最終ラップへ…。
◆感想
・冒頭のモナコ・グランプリからのレーシングシーンには魅了される。この映画のために、撮影したんだよね!
・今作のもう一つの魅力は、F1レーサー達が抱える女性関係を絡ませている事である。
ー 兄をレースで失ったスコットがピート・アロンと接戦を繰り広げる中でクラッシュし、心理的負担に耐えられなかった妻に去られるシーンなど。
そして、ピート・アロンはフェラーリを追われる・・。ー
・当時のF1カーのロケットのような形状と、安全性に関しては相当希薄であったと思われる数々のシーン。
ー 今でも、そうだけれども、当時は本当に命懸けだったのだなあ・・。ー
・イタリア・グランプリでの、ヤムラに移籍した勝者ピート・アロンと、それまで王者だったジャン・ピエール・サルティ(イヴ・モンタン)の事故死の対比の描き方。
ー そして、ピート・アロンが表彰台に招いた且つて自分の所為で大怪我をし、妻に去られたスコットを表彰台に招くシーンは沁みたなあ・・。ー
<年代的に、1960年代のレースに関する知識は殆どなかった。
が、BRM(ブリティシュ・レーシング・チーム)や、当時日本を代表して頑張っていたホンダや、当時の今以上に危険なF1レースシーンには不謹慎だが、魅入られた作品である。
重ねて言うが、この作品の1967年公開と言う事に、当時の制作陣に対して敬意を表すべき作品であると思った次第である。>