「ハリー・ポッターと私」ハリー・ポッターと賢者の石 つとみさんの映画レビュー(感想・評価)
ハリー・ポッターと私
かなり前のことになるが、金曜ロードショーで何度か目の鑑賞。ノーカットじゃないし、吹き替えだったが、忘れていたことや、全作観たからこそわかる伏線(?)を思い出し楽しく観られた。
思えば初めは「子ども向けのファンタジー」だと侮っていたものの、観始めたらメチャクチャ面白かったことを正直に告白する。控えめに言っても最高のファンタジーだった。本当、観てみるまでわからないもんだな。
観直してみて、とにかくスネイプ先生への偏見がすごい(笑)。常に謎の雰囲気を身にまといつつ、陰ながらにダンブルドアと連携してホグワーツに貢献しているというのに。
「ハリー・ポッターと死の秘宝」にて明かされるスネイプ先生の過去を知って観ると、あらゆる局面で彼の愛を感じてしまって、やるせないというか温かいというか、とにかく画面に映る度に萌えてしまう。
彼の一人称を「我輩」と訳した人は天才なんじゃないだろうか。スネイプ先生の個性が強烈に引き立つ名訳だと常々思う。
ストーリーの方は、意外と謎解きみたいな要素が強くて、もちろんクディッチのシーンみたいなモロファンタジックなアドベンチャー映画ではあるんだけど、賢者の石をめぐるミステリー的要素が、面白く観られた大きな要素だと思う。
ハリーたちの推理とトライ&エラーの連続に常にくっついていって、一緒になって禁じられた廊下の真実をあぶり出していくワクワク。
ハリーに届けられる「THE魔法」なアイテムのワクワクとも相まって、魔法の世界に入り込んだような高揚感が味わえる。
ハリー自身が何も知らないところから始まって、徐々に魔法のことや自分自身のこと、友達のことや未来に立ちはだかる脅威のことが少しずつわかっていく仕掛けも楽しい。
ハリーが何も知らないからこそ、色々な人に愛され、応援され、もっと言うと露骨に贔屓されているような状況の天才少年、というキャラクターでも観ていられるのかもしれない。
何より、「もしも魔法があったら」と夢想したとき、現実の世界から羽ばたく力はそんな荒唐無稽さを伴って当然だからだ。
親戚に引き取られた孤児が、実は才能ある魔法使いで、才能を開花させて皆を導くヒーローとなる「男の子シンデレラストーリー」で、ぶっちゃけ王道のファンタジーなのだが、だがそれが良い。
私に「ファンタジーは良いぞ!」と教えてくれた名シリーズだ。