「徹底的に作り込まれた魔法ワールドにおったまげー!! 原作への愛を感じます💕」ハリー・ポッターと賢者の石 たなかなかなかさんの映画レビュー(感想・評価)
徹底的に作り込まれた魔法ワールドにおったまげー!! 原作への愛を感じます💕
“生き残った男の子“ハリー・ポッターとその仲間たちの冒険を描いた魔法ファンタジー映画『ハリー・ポッター』シリーズの第1作。
意地悪な親戚と共に暮らす孤児の少年、ハリー・ポッター。11歳の誕生日に「ホグワーツ魔法魔術学校」から入学許可証が届いたことで、彼の人生は大きく動き出す…。
監督は『グーニーズ』(脚本)や『ホーム・アローン』シリーズのクリス・コロンバス。
原作はJ・K・ローリング。生活保護を受けながら本作を執筆し、プロの小説家としてデビュー。その後世界最大のベストセラー作家となる。
主人公、ハリー・ポッターを演じるのはダニエル・ラドクリフ。当時は子役として活躍していた。
ハリーの親友である赤毛の少年、ロン・ウィーズリーを演じるのはルパート・グリント。本作で子役としてデビューした。
ハリーのもうひとりの親友である気の強い才女、ハーマイオニー・グレンジャーを演じるのはエマ・ワトソン。彼女もまた、本作でプロの子役としてデビューした。
ホグワーツの副校長、ミネルバ・マクゴナガルを演じるのは『フック』や『天使にラブ・ソングを…』シリーズの、レジェンド俳優デイム・マギー・スミス,CH DBE。
魔法薬学の教授、セブルス・スネイプを演じるのは『ダイ・ハード』『ギャラクシー・クエスト』の、名優アラン・リックマン。
音楽は『スター・ウォーズ』シリーズや『ジュラシック・パーク』シリーズの、巨匠ジョン・ウィリアムズ。
どの世代にも、共通言語として語られるエポック・メイキングな作品というものがある。
我々90年前後に生まれた世代にとって、最も衝撃的で最も影響力のあるフランチャイズといえば、まず間違いなくこの「ハリー・ポッター」(1997-2007)だろう。
これは同世代じゃないと伝わりにくいところもあるのだろうが、とにかくこのシリーズの人気は凄かった!映画が公開されれば話題は『ハリポ』一色。試写会とかで一足早く鑑賞すれば、それだけでヒーロー扱いだった。
映画だけでなく原作の人気もとにかく凄まじく、400ページ以上もある小説を当時の小学生は貪るように読んでいた。新刊が発行されればお祭り騒ぎ。早く読みたいのだが学校図書館では順番待ちでなかなか借りられず、仕方なく似た様なジャンルの「ダレン・シャン」(2000-2004)に手を出し、結果そちらにどハマりするというのは、同世代の本好き小中学生なら誰しもが経験したのではないだろうか?
もちろん自分もどっぷりと「ハリポ」世界に浸っていた。こまっしゃくれた子供だったので、初めて映画を観た時には「全然原作小説の面白さが表現できてない!」と思ってガッカリしたが💦
という訳で映画の『ハリポ』にはあまりハマらず、代わりに『ロード・オブ・ザ・リング』(2001-2003)の方に熱を上げていた。余談だが、『LotR』の影響で原作の「指輪物語」(1954-1955)に手を出すも、あまりの読みづらさに途中脱落するというのも、当時の読者好き小中学生の定番コースである。
今回ン十年ぶりに改めて鑑賞してみたが、これ結構面白いじゃん!
当時はあまりにストーリーが淡々と進みすぎる事が不満だった。実際、今見直してみてもその感想は変わらない。原作のエピソードを消化するために、駆け足で物語を進めすぎている。そのため、全体的に段取り臭さが酷い。原作の味をそのまま映画にしようとしている努力はわかるし、原作への愛も伝わるのだけれど、お世辞にもストーリーテリングが上手いとは言えない。
ただ、ビジュアルや世界観の作り込みという観点からすると、よくぞここまでハリポ的魔法ワールドを作り上げたな!と感心する他ない。
まず、ハリーが初めて魔法の世界に足を踏み入れる「ダイアゴン横丁」の非日常感にやられた!非日常的ではあるが非現実的ではないのは、画面の隅々にいたるまで中世的な魔法世界の再現を試みているからに他ならない。特に、気に入ったのは「オリバンダー杖店」。店内にぎっしりと杖の入った箱が積み上げられている様子はファンタジーとリアリティのあわいを見事に表現しており、本当にこんな店が世界の何処かにあるに違いないと思わせてくれる。
このダイアゴン横丁のヴィジュアルは、ハリーの感じたドキドキワクワクを映像に完璧に落とし込んでいる。こんな美術が観られただけでもう大満足です😊
「ホグワーツ」の校内のセンス・オブ・ワンダーは言うに及ばず。
動き回る肖像画、自由に飛び交うゴースト、位置を変える階段、いかにもな姿をした教授たち。ホウキに跨ってスポーツを行い、杖を振るって魔法の練習。いや〜、そりゃこんなんワクワクするやん✨ティーンが妄想する様なザ・魔法学校をここまで見事に映像化してみせた。それだけでこの映画は合格である!
ティーン向け映画ということで物語はかなり強引なのだけれど、そこにツッコむのは野暮か。ただ、ダンブルドアのポッター&グリフィンドール贔屓のエグさは流石にどうかと思うぞ。「部屋の模様替えをしなければならんのう」じゃないんだよ!大体なんだネビルに10点って。全てあのジジイの気分一つじゃないか。優勝奪われたスリザリンや最下位になってしまったハッフルパフの気持ちを考えたことあるんですか!?
スリザリンから闇の魔術師が生まれるのはダンブルドアの態度に問題があるんじゃ…。
まま、ええわ。とにかく原作愛に満ちた、ポップで楽しい映画である事は間違いない。古さも全く感じず、これなら今の子供達が観ても十分に楽しめるのではないでしょうか。ジョン・ウィリアムズ先生の音楽とクリス・コロンバスの素晴らしい映像にかかれば、誰もが魔法の世界へとひとっ飛びです♪
> それぞれの世代について、あまりにもエポック・メイキングな作品というものがある。
まったく同感です。自分にとっては子供の頃のゴジラ、ガメラシリーズであり、20歳前後のスターウォーズシリーズであり、誰もが、映画の世界に入るきっかけとなる映画ってありますよね。
ちなみに、俺はそういう映画たちは、決して否定しないように、努めています。

