劇場公開日 2001年4月7日

「猟奇的部分に頼りすぎた」ハンニバル Cape Godさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0猟奇的部分に頼りすぎた

2013年3月9日
PCから投稿
鑑賞方法:DVD/BD、CS/BS/ケーブル

知的

難しい

総合:75点
ストーリー: 75
キャスト: 80
演出: 75
ビジュアル: 75
音楽: 70

 前作の猟奇的殺人犯とその事件の解決といったものから、今作は猟奇的行為そのものに焦点が移ったようだ。そのために顔の皮を剥ぐ・豚に生きたまま食べられる・頭蓋骨をはずして脳を食べるといった、異常行為そのものがいくつも登場している。それはそれで大きな衝撃ではあるし見所であるのだが、高度な心理戦の追及というものが少なくなっている。全体としてこの異常さを耽美でさらには芸術的な行為としてすら捉えて、独自の雰囲気を作り出している。見ているうちに自分がそのような異常性に染まり、少しレクター博士に共鳴している部分は怖いところ。
 しかし知的というよりも動的で物理的な描写になっており、洗練された物語というよりも悪く言えば安直な異常性と映像に頼ったものになっていた。それでもまだ面白い映画だったと言えるが、前作が傑作だっただけに質感は後退したように思った。

 アンソニー・ホプキンス演じるハンニバル・レクター博士の、知性溢れるが静かな狂気を秘めて人の心理を覗き操るその存在感は相変わらず強烈で、彼なしではこの映画は成り立たない。顔の皮を剥いだ金持ちはゲイリー・オールドマンだったとは、最初に見たときには気がつかなかった。クラリス役のジュリアン・ムーアは嫌いな女優ではないのだが、この作品ではジョディ・フォスターの印象があまりに強く残っていたためにあまりしっくりとこなかった。大山のぶよの印象が強いのにドラえもんの声が急に変わると、やはりしっくりとこないものだ。

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Cape God