ハンニバル : 映画評論・批評
2001年4月1日更新
2001年4月7日より丸の内ルーブルほか全国松竹・東急系にてロードショー
レクター博士の愛は成就するのか?
最初のスクリプトはデビッド・マメットが書き、次にまったくあらたにスティーブン・ザイリアンが書き下ろした。読み比べるとマメットはオフ・ビート感がただよい、ザイリアンのはストレートにトマス・ハリスの小説を追っている。ラストにマメットは、クラリスの亡き父の墓をもってきて、原作のシュールな味をなんとかマメット流に伝えようとしているが、ザイリアンはハリウッド流儀で明快に、映画的決着を図った、といっていい。どちらが ヒットを狙えるかは一目瞭然。かくして製作側はザイリアン採用となったのである。スコットは「ブレードランナー」で懲りて、以来オフ・ビート感覚を敵視するにいたっており、それは今回も変わらない。リンチならマメット脚本を選ぶだろう。どちらがどうこうではなく資質なのだ。スコットの勝利は、メイソン・バ-ジャーほかハンニバルの犠牲者を実に魅力的に描きだしたことだ。クレンドラーのレイ・リオッタなんてわかりやすいすけべ度が最高である。
(滝本誠)