「ウィルは周囲の人や自分に向き合うことを恐れている」グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち 根岸 圭一さんの映画レビュー(感想・評価)
ウィルは周囲の人や自分に向き合うことを恐れている
特に心に残る映画の一つ。
主人公ウィルは、カウンセリングに来た心理学者に対して、馬鹿にした態度を取り怒らせている。ここに彼の自分を守りたいという心情が見て取れる。カウンセリングに真面目に対応すると、自分の心の内を見せなければならず、本当の自分を知られてしまう。そして自分と向き合わなければならなくなる。それが怖いのだ。それは彼の彼女との関係性からも分かる。表面的な関係性に留まり、自分の出自に触れるような、一歩踏み込んだ話題が出るとお茶を濁す。天才的な頭脳を持つのにも関わらず、特にやりたいこと、熱中できることが無いのも同様の理由があるからだと推察される。つまり、自分が本当にやりたいことについて考えてしまうと、必然的に自分という人間と向き合わざるを得なくなる。だからやりたいことについて考えないようにしており、ぶらぶらとするだけの毎日を過ごしているのだろう。
ウィルが、自分や周囲に向き合うのが怖くなったのは、彼が幼い頃に受けた虐待による心の傷が原因だ。そして、ただ一人ショーンに対しては心を開くようになったのは、彼もまた過去の出来事から心に傷を負っているからだ。
そのようなウィルの心理の描き方が秀逸な映画だった。
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KENZO一級建築士事務所さんのコメント
2024年2月25日
根岸圭一さんへ
この度はたくさんの共感とフォローまでも頂き、本当にありがとうございます。
確認出来る範囲ではありますが、根岸さんのレビューを拝見させて頂き、各作品のことを懐かしく思い出すことができました。
今後とも“映画.com”でのお付き合いのほど、宜しくお願いいたします。