「感動するも…」グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち 銀蝿さんの映画レビュー(感想・評価)
感動するも…
カウンセリングシーンや、友人とのシーンなど各々の場面ではセリフもよく練られており、感動させてくれる。
しかし主人公の人物像などストーリー上、核となる部分で気になることがあり、手放しで感情移入出来なかった。
天才というものがこの物語の中で、人知を超えたスーパーパワーとして描かれているのは兎も角。
ウィルは大量の本を読んでいる、という説明があるにもかかわらず、なぜそんなに大量の本を読むに至ったのかが極めて謎。そこら辺に本や知識が転がっている環境ならまだしも、あの環境でその知識を集めるには、かなり自発的に”外へ”動いていかないと難しいのではないか。”内”に篭ってると描かれる彼にとって不思議な行動。
親友はいるのか?と聞かれて、シェイクスピアやニーチェ、と答えるのも謎。学問への誘いを小馬鹿にしながらことごとく断る反エリート主義な彼の行動から、彼らへの敬意は少しも垣間見られない。これは皮肉だったか?
就職が決まったにも関わらず、彼女の元へ向かうラストも、その間の感情の変化が描かれておらず、なんで急にそういう決断に至ったのかよくわからない。就職先だって押し付けられたものじゃなく、自分で選んだものらしかったし…先生と離れるのが寂しくて、人肌恋しくなったから?
チャッキーがウィルが居なくなって嬉しそうな顔をするシーンも。確かにチャッキーは急にお前が居なくなってて欲しい、と言ったが、それはいつまで経ってもその才能をくすぶらせてたら許さない、という話で、仕事を捨てて女の元へ行け、という事ではなかったのでは?と疑問が残った。
それに別に仕事か女か選ばなくても、最初からLAの仕事を紹介してもらえばよかったのに…あれほどの天才なら場所を選ばず引く手数多でしょう…