ギミー・ヘブン : インタビュー
それまでも若手演技派女優として日本映画界で気を吐いていた宮崎あおいは、05年、メジャー作品「NANA」の大ヒットでさらなる躍進を遂げた。しかし、06年は再び小規模ながらも作家性の効いた出演作が多数控えている。そんな彼女の06年最初の公開作(アニメをのぞく)となる「ギミー・ヘブン」について語ってもらった。(構成:編集部)
宮崎あおい インタビュー
「切なくて痛いですけど、そこを観てほしいですね」
――“共感覚”といった変わった設定も含まれていますが、脚本を読んだときの第一印象はどうでしたか?
「最初は漠然としていましたが、監督と話をしているうちに面白いと思いはじめ、すごく好きになりました」
――麻里という役どころについては?
「演じていて、麻里の周りにいる人がすごくかわいそうに見えてきました。貴史はすごく麻里のことを大事にしてくれているのに、麻里は完全に無視。亜季さんが話しかけてくれても無視。安藤(政信)君は『わぁ、つらくなってくる』と言うし、私も演じていて切なかったですね。笑わないひとという設定だったので、それがたまにつらかったんです。一度、事務所で安藤君が飴をなめているシーンで、私が部屋から出てくると安藤君の口が真っ青になっていたところがあって、吹き出しそうになってしまったので江口(洋介)さんばかり見て演技したことがありました」
――ピアノを実際に演奏されていますが、どうでしたか?
「最初は弾けないから、練習中は無口でした。ピアノの先生は、怒らないし優しく教えてくれるのに。だんだん弾けるようになって、そこからは楽しくなってきて、足も付けられるようになりました。本番は緊張して間違えちゃいましたが、でも、すごく楽しかったですね」
――豪華なキャストも話題ですが、共演者の皆さんについて感想を聞かせてください。
「江口さんとは、あまりお話する機会がなかったんですが、大きくて優しい方だなと思いました。安藤君とは、初めて会ったときに現場で2人だけでお弁当食べていて、後でメイクさんとかスタイリストさんとか来るのかと思ったら誰も来なくって「気まずいなぁー、何でみんな来ないんだろう」って話していました。安藤君も(松田)龍平君もカメラ好きで、龍平君が寝ている姿を龍平君のカメラで撮って遊んだりしていました」
――松浦監督についてはいかがでしたか?
「“共感者”という特殊な設定があっても、『共感者だからこうなんだ』とか、役柄に関してあまり説明はされませんでした。演技に関して『もうちょっと、こうして』ということはありましたけど。以前お仕事をしていたので、お話ししやすかったです」
――最後に、観客の皆さんに一言。
「すごく切なく痛い映画だと思います。『楽しんで』観てくださいという感じではないですよね。みんな『自分は孤独だ』とか『みんなはこういう風に見えていないのかな』とか、周りを気にしちゃうことが絶対あると思います。麻里は自分の仲間を探し出した。これが彼女の幸せな形、幸せな人生だと思うんです。最後は悲しくて痛い映画ですけど、それを観てほしいですね」