紅の豚のレビュー・感想・評価
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大人になってから見ると、違う
子どもの頃はあんまりおもしろく感じれなかったこの作品も、大人になってみると面白さがわかってくる。宮崎駿監督はこの映画を作ったことを後悔しているようなことを口にする時があるのだけど、こういう映画も世の中には必要じゃないかな。
第一次世界大戦から第二次大戦の間のきな臭い時代を舞台に、飛空艇乗りが夢を馳せることができた最後の時代をコミカルかつ、かっこよく描くこの作品、滅んでいくものへの哀悼を詰め込んだ内容と言える。ロマンは現実に滅んだかもしれないが、こうして映画の中にだけでも残っているって、それ自体が生きる希望になると思うのだ。大人にもたまにはユートピアに逃げる必要がある、現実は本当に大変だから。
実際、内容的にはことごとく男のロマンを詰め込んだような内容なのだけど、それがギリギリ気恥ずかしさを回避できているのは、主人公が豚だからだろう。人間のまま展開したら気恥ずかしすぎてダメだったと思う。
宮崎さんは何したかったか
今まで私が見た宮崎監督の映画の中で一番弱いと思います。
作画、音作り、音楽、ゼロから生きているような世界を現すことなど、いつも優れている部分に関して不満はいいません。しかも少年でない悲しそうな主人公で有望なスタートなのでとても期待しましたが、ストーリーがどこへも進まなくて。。。
『紅の豚』は宮崎さんの弱点をよく指示する映画です。特に主人公以外のキャラクターが全ていつもと同じ決まった性格とデザインです。例えば勇敢な美少女やうるさいが優しい団体、おばあちゃんなどなどでもう飽きてしまいました。
主人公に関しても最初の思いと最後の思いが変わらず新たな発見はありません。
しかしプロットが面白ければ文句は言わなかったかもしれません。退屈なので一時間半だけでよかったです。内容がないシーンがいっぱいで、そして内容がなくてもカッコいいセリフや素敵な雰囲気、カバーはありません。豚の代わりに人間にすれば何かが変わるでしょうか。イタリア軍という敵を外せば何かの関わりがあるでしょうか。
いい映画になる可能性はありましたが、結局もったいない気持ちが残ってしまいます。あら残念。
わずか15ページのほんわかとした短編漫画が大人の物語として生まれ変わった
賞金稼ぎの赤い飛行艇乗りが空中海賊=空賊たちと命を賭けた壮絶な空中バトルを繰り広げる…そんな手に汗握るスリリングな物語を期待していると微妙に肩すかしを食らう(笑)。
いや、もちろんそういう空中バトルが描かれるのだけれど、全体にほんわかとした雰囲気なのである。
それもそのはず。原作の漫画がそもそもほんわかとしているのだから。
原作は宮崎駿本人による漫画「飛行艇時代」。わずか15ページの短編である。
原作の大まかな筋書きは映画とほぼ一緒。でもマンマユート団以外の空賊たちは登場しない。ジーナも登場しない。シリアスな描写も一切ない。
宮崎駿お得意の淡い水彩で、あくまで軽いノリでほんわかとした物語がユーモラスに綴られている。
だいたい主人公を豚にしてしまう時点で、ありきたりのハードボイルドやヒロイズムに対する宮崎駿のシニカルな視線が感じられる。
この「飛行艇時代」は、さすがに天才宮崎駿が描いただけのことはあり、15ページの短編ながら流行り廃りと関係なく時代を超えて読み継がれるべき傑作漫画と言える。
ただ、この15ページのほんわかとした原作そのままではさすがに長編映画にはならない。
宮崎駿はそこに原作にはなかったジーナという大人の女性を登場させ、さらにポルコ・ロッソの過去の心の傷なども描くことで、ほとんどギャグ漫画に近かった軽いノリの物語を大人の鑑賞に耐えうる長編映画に生まれ変わらせた。
この作品で描かれているのは『ルパン三世 カリオストロの城』や『天空の城ラピュタ』のような痛快冒険活劇の世界ではない。
この作品が公開されたとき宮崎駿は51歳。アニメーション映画の最前線を駆け抜けてきて、50代を迎えてこれまでの自分の仕事を少し俯瞰して見る余裕ができたのかもしれない。
だからこの作品は冒険活劇の世界にのめり込まずに一歩引いた目で俯瞰して眺めるような、そんな大人の視点で作られている。
この作品がノスタルジーに満ちているのは、宮崎駿自身が同年代の仲間たちと一緒にアニメを夢中で作った血気盛んな若い頃を懐かしんでいるせいかもしれない。
自分がこの作品を劇場で観たときは20代を迎えたばかりだった。血気盛んかどうかはともかく(笑)若者であり、賞金稼ぎの赤い飛行艇乗りの物語と聞いて、痛快冒険活劇を期待して観に行ったため、微妙に肩すかしを食らったのを今でもよく覚えている。
でも、あれから30年が過ぎて自分も宮崎駿がこの作品を作った年齢を超えてしまった。
そういう目で観ると、この作品が血気盛んな若者時代を通り過ぎてしまった大人たちに宮崎駿が贈った物語だということがよく分かる。
この作品の一種の枯れた味わいは、50歳を過ぎたおっさんにしか本当には理解できないのかもしれない(笑)。
もちろん、宮崎駿がノスタルジーに浸って枯れた作品を作り続ける大御所みたいな、そんなじじむさい人間でないことはその後の精力的な創作活動が証明している。
20代の自分はこの作品がほんわかとし過ぎていて不満があったが、50代の自分はこういうほんわかとした作品も結構イイじゃないかと思っている。たぶん年を取れば取るほど好きになるような気がするので、この作品とは一生付き合っていけるのかもしれない。
ただ、一方で傑作短編漫画である「飛行艇時代」にシリアスな大人向けの要素を付け加えたりしないで、あの軽いノリとユーモラスな雰囲気そのままに30分くらいの痛快短編アニメに仕立てた作品を観たいという気持ちもずっと自分の中にある。
この気持ちもたぶん一生続くと思う(笑)。
日本国民ならもう何度も観ている作品 空賊という社会悪をコミカルでポ...
日本国民ならもう何度も観ている作品
空賊という社会悪をコミカルでポップにジブリらしく仕上げ視聴者が不愉快にならない作りはさすが
出てくる人物誰もが個性的で魅力的
男女問わず随所で粋な台詞を言うところに痺れる
何よりポルコがカッコ良すぎ
宮崎駿、頼むこの頃の作風に戻ってくれ
空に捧ぐ、憧れと誇り
天空に光輝く、紅の艇(ふね)。雲の海原を駆ける漢の誇りと童心。今、改めて観ると、宮崎サンの好物が詰め込まれた、お弁当みたい。ピクニックにでも、連れて行きたい気分になる映画ですね。そして、私は途方に暮れる。私のノスタルジーが、被弾した模様です。
スクリーンでこれ観てから、何年経ったかしら。時には昔の話をしようにも、あの頃の私を思い出すのも、難しい。と言うより、思い出したくない。たださ、あの頃の私って、今の私の姿を想像していたかな。揺れている時代に、揺られ続けている私を、どう思うのかな。翔べない私の目の前で、翼に雲を曳く豚さんは、私を置き去りにしたまま、今、何処の空を飛翔している?。誇り高き豚さんは、私の憧れを、何処へ運び去った?。
そうだね…
翔べない私は、ただの私です。カッコ悪くても、思ってたのと違っていても、他者を傷つけることなく、(たまに、けんかしても。)誇りある生き方ができるのなら、私の心は翔べるかな。宮崎サンも、それを望んでいるのかも。
時には、昔の話を…
やっぱり素晴らしい
やっぱ傑作、やっぱり昔のジブリは面白い
ジブリアニメで1番のお気に入り
1992年公開作品
監督と脚本は『ルパン三世 カリオストロの城』『風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』『となりのトトロ』『魔女の宅急便(1989)』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『崖の上のポニョ』『風立ちぬ』『君たちはどう生きるか』の宮崎駿
この作品には今の日本にはない冒険心とユーモアが詰まっている
「まごまごしてるとバアちゃんまで ついて来そうだからな」って台詞が1番好き
森山周一郎のあの独特の声で冗談まじりにボヤキを連発する
最高にいい味を出している
声の配役
元軍人で飛行艇を乗り回す賞金稼ぎで軍に戻りたくなくて自分に魔法をかけた豚人間のポルコ・ロッソに森山周一郎
ポルコの青年時代に古本新之輔
ホテル・アドリアーノを経営する未亡人で歌姫のマダム・ジーナに加藤登紀子
ピッコロのおやじの孫娘で飛行機設計技師のフィオ・ピッコロに岡村明美
ミラノの飛行艇製造会社「ピッコロ社」の社長のピッコロのおやじに桂三枝(現六代目桂文枝)
大きな赤鼻に髭面で飛行帽にゴーグルが特徴の空賊マンマユート団の首領兼空賊船ダボハゼ号船長のマンマユート・ボスに上條恒彦
空賊連合が雇った用心棒でポルコの最大のライバルとなる飛行艇乗りのドナルド・カーチスに大塚明夫
ポルコの元戦友で現在はイタリア空軍少佐のフェラーリンに稲垣雅之
バアちゃんに関弘子
写真屋に辻村真人
酔客に矢田稔
テレビでやっていたら見てしまう反射
粋な豚と空へ
もう何度見たかわからないが、歳をとるほどしっくりくるアニメ。
宮崎監督が、好きな飛行機を、メカを存分に動かしまくって楽しんでいるように思える。
子供の頃観たときは、豚が主人公でしかも空を飛ぶという、奇想天外な設定に驚いたが、あまり面白さがわからなかった。これは子供向けの作品ではない。大人向けの作品なのだから仕方がない。
監督は、飛行機を作る会社の一族として生れた。幼い頃から、身近に飛行機があった。この作品は、監督がずっと描きたかったものではないかと想像する。
天空の城ラピュタやハウルの動く城と同じ系譜の作品だと思うが、メッセージ性がほとんど感じられない。空を飛ぶことの素晴らしさ、面白さ、そして儚さ。観て感じたのはそういうことだ。
メカが、まるで生き物のよう。リアリティよりも、躍動感。アニメだからできる表現。宮崎駿の真骨頂。
そして、豚は去り際も美しい。こんなにカッコいい豚はいないぞ。
「飛べない豚はただの豚だ」は映画史に残る名言になったが、個人的には、ピッコロ親父の「さあ、モリモリ食べて、ビシバシ働くぞ」が気に入った。
カッコよくて、ちょっぴり切なくて、元気がでる映画。
さあ、明日もビシバシ働くぞ!
好きです✈︎空飛ぶ豚が
なんてロマン溢れる物語なんでしょう。
何度観ても、あの空を飛ぶ彼に憧れます。
ところでナゼ豚になった?
豚なら戦争に行かなくていい。
豚として気楽に生きたい。
幼馴染に告白するのが怖い。
謎は多い方が楽しみも長持ちします。
宮崎駿さんはこの作品にどんな意味を込めたのか?
大戦で友を亡くし、唯一生き残った彼の悲しみは、空を飛ぶことで解放されるのでしょうか?それとも、そこに近づくために飛ぶのでしょうか?友人の恋人から離れるためにわざと空の上に行こうとするのでしょうか?ハッピーエンドなのかどうか分からない結末に、観ているこちらも複雑な気持ちになりますが、あの弾け躍る様なフィオのセリフに、沢山の希望を届けてもらっています。
この「紅の豚」は、今からずっと昔の1992年に公開。不思議で壮大な世界ではなく、もしかしたら実際にあったかも知れない、そんな気にさせる物語。子供よりも上の年代なら虜になれるアニメとして色褪せないのは、大人のややこしい秘密のせいなのかも知れません。
青と赤の染みる映画。
大人だから好きですね。
※
シネマフェスティバルで
無人島にひとつ持って行くならコレかも
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