「ファッションとは「日常」をぬぎ捨てることなり」プラダを着た悪魔 あんゆ~るさんの映画レビュー(感想・評価)
ファッションとは「日常」をぬぎ捨てることなり
2006年アメリカ映画。110分。今年4本目の作品。日常からはかけ離れた世界のファッション業界を題材にしたおしゃれな作品。主演はとにかくキュートなアン・ハサウェイと大御所メリル・ストリープでございます。
内容は;
1、ジャーナリスト志望だった若き女性がNYファンション誌の敏腕編集者アシスタントとして雇われる。
2、厳しいファッション業界で生き残ることを決意した彼女は、日常感覚を捨て、次第に恋人や友人と関係が悪くなっていく。
3、そして、恋人に別れ話を切り出され、彼女はどちらの道を進むかで心境が揺れる。
といった按配でございます。
まず主演二人の演技がすごくいいです。陽がハサウェイなら陰はストリープ。燦々と輝かさせることが大儀のファッション業界の裏にあるのは、欲望と抗争の渦。そこにひょんなことから舞い込んだハサウェイの純朴な陽気さを、恨み節をこめたように叱咤していくストリープといった構図がおもしろく、二人の会話がこの業界をインサイドアウトしていて興味深い。
ホテル業界にながらくいるわたくしにとっては、ファッション業界は共通点があり、ストリープの毒舌がちょっとした共感に。煌びやかな世界の裏というものは結構ドロドロしているものです。
それでもストーリーの基本にあるのはガールズ映画でありコメディ。この基本をエンディングまで崩さなかったことで、楽しみながら観れます。
ファッション業界で成功し、私生活で失敗しつづけているストリープ演じる編集者の憂いの表情がとても印象的。
ファッションとは日常の機能性を捨て、ぜいたくと無駄を集積した末に完全にあく抜きされた、なんともいびつな純粋さのフォーム。そして誰もがそんなフォームを着こなすことを憧れている。おしゃれしたいとうのは、心に非日常性をもたせることで日常から逸脱した自分の姿で街を闊歩し、そしてなによりも輝きたいからなのだと思う。
こういうガールズ映画も観なきゃねっ。