「お洒落の意味とネイトの存在」プラダを着た悪魔 ジェームズボンドさんの映画レビュー(感想・評価)
お洒落の意味とネイトの存在
もともと好きな映画でしたが、先週の金曜ロードショーを観直したとこら、この映画の見方が変わりました。
近いレビューがなかったので、私なりの解釈を書いてみます。
先に結論を書くと、仕事に対する『覚悟』だと思っています。
まずこの映画はファッションの映画なので(当たり前ですが)お洒落な服がたくさんでてきます。もともとファッションに無頓着なアンディでしたが、だんだんお洒落になっていく描き方が爽快です。出社シーンをワンカットのように画面つないでテンポ良く描いているシーンが特に素敵だと思いました。
このお洒落というのが、単にお洒落に目覚めた、という事ではなく、もう一つの意味があります。それは仕事に対して評価される『覚悟』をもったという意味です。
ファッション業界の中で、お洒落するというのは怖いことです。ダサいと言われたら自分のプライドが傷つき、完全に自分を否定されてしまうからです。しかも業界のトップであれば尚更、才能があるか努力して自信がある人じゃないとできません。
アンディは最初ダサくても仕事ができればいいんだ、と自己肯定していましたが、ミランダに認めてもらいたく、決心して自分を変えたのです。
初めの方はナイジェルが選んでたので、とてもセンスの良く着ていましたが、最後はナイジェルに褒めてもらえるほど成長しましたね。まさにこれはアンディの努力の表れだと思います。
映像にはありませんが、相当ファッションの勉強をして、着たい服を着るため、ダイエットも励んだのだと想像しています。
ファッション業界だけでなく、いま働いている人全てに、その業界の中で闘っているか、問いかけているんだと感じました。
つぎにネイトの存在です。
この映画は恋愛映画ではないですので、ネイトと結ばれることは目的ではありません。ではネイトとは何かというと、過去の自分です。自分の内に秘めた能力は、きっとだれかが評価してくれるだろうと、碌に努力もせず、不満を言ってばかりです。
その証拠に、ネイトは有名な店で働きたいと口では言いつつ、夢に向かって頑張るシーンはありません。そればかりか、唯一の料理シーンでつくるのが、8ドルのチーズをはさんだだけのホットサンドです。なんと料理人のプライドが無いことか。
そんなネイトも身近で努力するアンディを見て気づきます。距離を置こうといったのは、誕生日パーティーすっぽかして拗ねた訳ではなく、イケメンに嫉妬した訳でもなく、何も成長していない自分を情けなく思ったのではないでしょうか。
アンディと別れたあと、一念発起したのでしょう、最後に副料理長になれましたね。
まとめると、働いている人にポジティブなメッセージを送ってくれる映画でした。