名無しの子

劇場公開日:2025年11月21日

解説・あらすじ

中国でインフルエンサーとして活躍しながら、「再会長江」などの同国の実情を捉えたドキュメンタリー作品を手がける竹内亮監督が、中国残留孤児をテーマに製作したドキュメンタリー。

1945年、第2次世界大戦末期。中国・旧満州に暮らしていた何万人もの幼い子どもたちが現地に取り残され、彼らは国籍を失い「名無しの子」となった。そして、そんな孤児たちを、貧しい暮らしの中でも自分の子どものように育てた中国の養父母たちがいた。

本作では、日本と中国を往来し、残留孤児とその家族を含む3世代・100人を取材。1990年代に帰国を果たすも日本社会に溶け込めず、自殺未遂に追い込まれた一世、日中両国で差別を受け、その抵抗手段として準暴力団「チャイニーズドラゴン」を立ち上げた二世、日中ハーフとしてのルーツを隠し、友人にすら本当の自分を打ち明けられない三世など、80年を経た今もなお、運命に翻弄され続ける中国残留孤児たちの実態を描く。

2025年製作/110分/中国
原題または英題:无名之子
配給:ワノユメ
劇場公開日:2025年11月21日

オフィシャルサイト

スタッフ・キャスト

監督
竹内亮
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(C)「中国ドキュメンタリー映画祭In Japan」組織委員会/ワノユメ

映画レビュー

5.0 非常に上質かつ心の深くまで刺さるドキュメンタリー

2025年12月5日
スマートフォンから投稿

親や国から捨てられた「中国残留孤児」と言われる人たちの「悲しみ、怒り、寂しさ」に満ちた80年を辿る物語。

どれだけの時間が経とうとも、幼かった頃の自分と対面する時の彼らの胸には、まだ、守られるべき立場だった頃の自分の感情が溢れそれがそれぞれの涙となって零れ落ちる。

戦争の時代が生んだこの悲しみの物語は、時代を超えて続いていった。中国から帰国し、彼らが生まれ育てた我が子の代までその影響は続いた。

しかしこの悲しみの連鎖は三代目の世代(欣也くん)により、終わりを告げ、負の感情を包み込む、後世に残すべき物語として伝承されようとしている。

この作品の監督の懐の深さは計り知れない。
様々な年代、立場の残留孤児の方と対面しても、監督の話しかける温度は常に変わらないのだ。高校生の男の子と話す時も刑務所に何度も収監された暴走族の元総長と話す時も相手の胸襟を開かせてしまう「タモリさん」的な魅力がある。

この監督の人柄のおかげで、80年も続く負の歴史を描くこの映画に過度な重たさを感じさせない。

登場人物一人一人の過去に対して穏やかな気持ちで傾聴してあげられるような気持ちで映画を観ていられる。

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はなてん

3.5 語り継いでいかないといけない

2025年12月4日
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残留孤児だけでなく、諸々忘れてはいけない。

残留一世、二世、三世と続くが三世までくるとゼネレーションギャップを感じざる得ない。ほぼと言うか、完全に日本に馴染み日本人として生活を送っている三世に二世の親が中国の有名大学に行って欲しいと説得するのは全く共感出来ない。親の価値観を子供に押し付けるのは違う。これは残留がどうとかじゃない。

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Oyster Boy

4.5 戦争の悲劇

2025年11月24日
スマートフォンから投稿
鑑賞方法:映画館

泣ける

悲しい

明治維新後、富国強兵の名の下、清、露に勝ってしまったが為に、日本人全てが勘違いしてしまった挙句、満洲国建国、国策に依る大量の日本からの移民が辺境部に送り込まれたことで生まれた悲劇。残留孤児1世はもとより2世、更には3世にまで、その悲劇が続いている。竹内亮氏の前作(再会長江)も素晴らしかったが、本作は更に上を行く衝撃でした。以前から、幕末以降の日本史に関し、色々な書籍、ドキュメンタリー、ドラマに触れて来ており、今回改めて、明治新政府以降の日本の歴史を思い知らされた気がします。

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Cabe

2.0 重要な課題を扱ってるだけに、説明しない姿勢が気になる。

2025年11月24日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:映画館

中国残留孤児のドキュメンタリー。

日本敗戦後、残留孤児1世(幼児期に取り残され、中国人家庭で育てられた世代、現在80〜90歳)を起点に、1世が中国や日本で家庭を持ち、産まれた残留孤児2世(40〜50代)、2世が日本で家庭を持ち産まれた残留孤児3世(10〜20代)、3世代に渡る、影響を示してる。

それぞれの世代が大変な思いをしている。1世は、日本に帰国しても日本語も話せず仕事にもつけない人も多い。2世も中国では日本人として、日本では中国人としていじめにあう。映画では国籍のことははっきり言ってくれないが、おそらくは3世ではじめて日本人として普通に暮らせるようになるのではないか。

残留孤児1世のための介護施設を作った2世の方の家族が軸になって展開されるが、ボクが注目したのは残留孤児2世がつくった半グレ集団、怒羅権(ドラゴン)のことが触れられていること。

この映画ではOBが仲良くツーリングしてるみたいに描いてて、そういう活動もしてるんだろうが、チャイニーズマフィア自体は現在進行形の半グレ勢力だ。

この映画の中でもヤクザと抗争してたと、サラッと答えているが、興味のある方は「パリジェンヌ事件」で検索してほしい。殺人はしてないとわざわざ言わせてるけど、集団としてはヤクザを殺してる。喧嘩も素手じゃなくて刃物を使ってたと言ってたが、青龍刀ですからね。

電車に乗れないことをドジっ子みたいに描いて笑わせていたが、ホントは銀行もカードもスマホも契約することができないのかなと思った。

気になったのは戦後満州を追われる原因。これはソビエトによる戦後、日ソ不可侵条約違反の侵略行為によるものだ。この戦争犯罪をイラストで欧米人を思わせる人物としてさらりと表現したところが、本作を日中の課題を強調して描くために意識的にスルーしてるように感じてしまった。この時、日本軍が逃げたと言ってるが、逃げなかった日本軍のことも語らない。中国人も(ついでに朝鮮人も)日本人の山狩りに加担してたことを言いたくなかったのかなと勘ぐってしまう。

また、主人公の上條さんが中国で過ごした幼少期に学校の授業で日中戦争の映画を見せられたと語るところ。おそらくアメリカが作ったプロパガンダ映画だと思うが(日本の左翼団体が1980年代に上映会をしていたのと同じ映画と思われる)、中国の反日教育の一端を感じてしまった。

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minavo