劇場公開日 2025年11月21日

ブラックフォン 2 : 映画評論・批評

2025年11月18日更新

2025年11月21日よりTOHOシネマズ日比谷ほかにてロードショー

いぼいぼマスクの内側にイーサン・ホークがいる恐怖が再び!

アメリカ、コロラド州デンバー郊外で、気弱な少年、フィニーが誘拐犯、グラバーを倒し、監禁部屋から無事に脱出してから4年後。フィニーの妹、グウェンは子供たちが殺される悪夢に度々悩まされていた。そこで、グウェンは夢の意味を知るためにフィニーと共に死んだはずのグラバーと夢の中で再び対決することになる。というのが続編のプロットだ。

グウェンは1957年にロッキー山脈のウィンターキャンプで起きた少年たちの失踪事件にまつわる、夢の区分としては心霊夢(未解決の問題や過去の出来事が夢の中に現れること)に影響されて、家の中を夢遊病者のように歩き回っている。そんな時、グウェンは夢の中で亡くなった母親から不思議な電話をもらったことで、心霊夢の真相を確かめるべく、フィニーを伴い山奥のキャンプ場へと向かう。こうして、映画は時代と時代の間、夢と現実の間を頻繁に行き来しつつ、その間に、グウェンと同じく心霊夢を繰り返し見た後に自ら命を絶ったホープにまつわる新事実や、ホープとグラバーの意外な関係など、想定外の事実を提示していく。

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前作に引き続き集結した製作のジェイソン・ブラムや製作兼監督のスコット・デリクソン等、低予算ホラー映画製作集団”ブラムハウス”の精鋭チームは、前作ではラインが繋がっていない黒電話を、続編はやはりラインが絶たれた公衆電話を恐怖のツールとして活用する。意図的に古ぼけたフィルムのざらついた肌触りを狙った挑戦的なビジュアルも楽しい。改めて見ると、ここでは夢と現実が同じフレームの中で同居していて、もはや異なる次元の壁はなきに等しいのだ。

他作品とのリンクで言えば、グラバーと同じく夢の中に現れる「エルム街の悪夢」シリーズ(1984年~)のフレディがいる。フレディは焼けただれた顔とナイフのような爪で眠りに落ちてきた子供たちに容赦なく襲いかかったが、キービジュアルとして浸透しているグラバーの角が生えたいぼいぼマスクもけっこうどぎつい。まして、マスクの内側にイーサン・ホークがいるかと思えば一層恐怖に震える。人気メイクアップ・アーティスト、トム・サヴィーニがデザインしたオリジナルのマスクは、今回、微妙にアレンジが施されているが、どちらも演じるホークのイメージを上手に踏襲していて、そこがまた怖い。結局のところ、「ブラックフォン」2作は演技派俳優、イーサン・ホークの文字通り隠れた代表作として、また、「エルム街の悪夢」にも勝る血みどろシーンを連発するスラッシャームービーとして、人々の記憶に刻まれることになりそうだ。

清藤秀人

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