「トニー・レオンの怪演が光る」Fox Hunt フォックス・ハント おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
トニー・レオンの怪演が光る
■ 作品情報
国家をまたいだ巨額の金融詐欺事件の追跡を描く、実話に基づいたアクションスリラー。監督はレオ・チャン。主要キャストはトニー・レオン、ドアン・イーホン、オルガ・キュリレンコ、オリヴィエ・ラブルダン。脚本はエリカ・シアホウとレオ・チャン。製作国は中国。
■ ストーリー
物語は、上海を拠点に大規模な金融詐欺を働き、巧妙な手口で法を掻い潜り、7年間にわたり逃亡を続けていた首謀者ダイ・イーチェン(トニー・レオン)がフランスのパリに姿を現したことから始まる。彼を追い詰める中国の経済犯罪捜査官イエ・ジュン(ドアン・イーホン)は、盗まれた資産の回収とダイの身柄確保のため、精鋭部隊「フォックス・ハント」チームを率いて越境ミッションに挑む。ダイが築き上げたフランスでの強大な影響力と周到な罠により捜査は困難を極めるが、チームは、国際的な駆け引きや、時間制限が迫る中、狡猾なダイを捕らえるために奮闘する。
■ 感想
鑑賞する前、紹介サイトのあらすじを読んで、話が複雑すぎて理解できないのではないかと少し心配していましたが、実際に観てみると、そこまでのことはなく、巧みに組み立てられた物語に引き込まれていきます。
この作品の醍醐味は、やはり狡猾なダイ・イーチェンを執念深く追い続けるイエ刑事たちの活躍を追いかける点にあると感じます。誰が敵で誰が味方なのかわからず、疑心暗鬼の中で他国の刑事と捜査を進めるもどかしさや、逆に罠にはめられて拘束されたり、強制帰国させられたりする場面は、国家を跨ぐ捜査の難しさをリアルに感じさせ、とてもおもしろかったです。
イエたち刑事の活躍がかっこいいのはもちろんですが、それを際立たせているのは、やはりダイ・イーチェンに扮するトニー・レオンの怪演に尽きるでしょう。警察を出し抜き、「俺の方が一枚上手だ」と言わんばかりのふてぶてしさや非情さが、物語全体をグッと引き締めています。終盤のカーチェイスもかなり見応えがあり、そこから逆転の逃走劇を図るところは、手に汗握る展開です。
ただ、全体を通してみると、やや冗長に感じるシーンがままあり、少しダレてしまう瞬間があったのも事実です。もう少しテンポよくコンパクトにまとめられていたら、よりいっそう没入感を増し、印象的なスリラーとして記憶に残ったかもしれません。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
