配信開始日 2025年10月29日

ヘッダのレビュー・感想・評価

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4.5石を抱いて沈む心

2025年11月8日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

救いと悪夢のあわい──水底に沈む愛の残響

導入

電話のベルが鳴った瞬間、彼女は救われたと思った。
だが、その声の冷たさが、彼女を再び深い闇へと引きずり込む
。華やかなパーティの裏側で、愛と虚栄が交錯し、悪夢が始まる──。

本文

ヘッダは自殺を決意していた。
池に立ち、服の中に石を詰め、沈む準備を整えていた。そのとき、ジョージの声が響く。「アイリーンから電話だ」
救いだと思った。
だが、アイリーンの言葉はつっけんどんで、冷たい。その瞬間、ヘッダは決意する──対峙しよう、と。

パーティに現れたアイリーンは、以前と変わらない。いや、むしろ強硬になっていた。
男性への侮蔑、女性の生き方の強要。
本当は弱い彼女を知っているヘッダは、揺さぶりたかった。
原稿を隠し、燃やす──「目を覚ませ」という願望が、破壊へと変わる。

拳銃が差し出される。
「私を撃ってもいいよ」
その言葉は、愛と破壊の境界線だった。
だが、撃たれたのは彼女ではない。
アイリーンは自殺を試み、やめて、路頭に迷う。暴発は偶然だった。
しかし、ヘッダが感じたのは、責任。愛の不在が生んだ悪夢。
「迷わず死んでいれば、こんなことにはならなかった」──その後悔が、彼女を再び水へと誘う。

遠くから聞こえる声。
「目を覚ました」
その言葉に、ヘッダは薄く笑う。
安堵と同時に、整理がつく。水面が揺れ、石が重みを増す。
光と影の境界で、彼女の笑みは消えていく。

結論

この物語は、愛の不在が引き起こす連鎖を描いている。
救いは一瞬で悪夢に変わり、責任と後悔が心を沈める。
人間は「愛する」と言いながら、傷つける生き物──その矛盾が、ヘッダを水底へと導いた。

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R41

0.559点

2025年11月7日
PCから投稿
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ま

3.519世紀末の戯曲をアレンジ

2025年11月3日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

19世紀末の戯曲をアレンジして映画化。
主人公ヘッダを黒人にしたり元恋人を女性にしたり
いわゆる現代よく使われる多様化を意識した物語になっています。
この主人公ヘッダが欲望の思いのまま生きているのがこの物語のミソで
策略、謀略、そそのかし・・・すごい女です。
また登場する男の情けないこと。
まるでよくあるTVの2時間サスペンスドラマを観ているような
ずる賢い女性に翻弄される周囲の人たち。
最後のシーンが興味深いですね。

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tom