ペンギン・レッスンのレビュー・感想・評価
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1羽のペンギンが変えてゆく世界
A PENGUIN CHANGES EVERYBODY'S MIND.
思ったより薄味だったかな。来るべき理由もなく逮捕される社会をこの映画で予習しようとしたんだけど。
隣国のウルグアイはペンギンはオイルまみれだが人間は自由で楽しそうだった(が、後で調べたらウルグアイも当時は軍事政権だったそうだけど)。
ペンギンはトムに連れてこられたアルゼンチンではペタペタと自由を満喫する一方、人間は監視の目がどこにあるかわからないし、すぐに銃を向けられたりするしとまるでオイルまみれで息が詰まりそうだ。
ペンギンを引き取ってもらおうと連れて行った動物園の檻が、まるで監獄のようなのを見て家に連れ戻ったのは、目の前で連行されていったソフィアを思い起こしたからなのかもしれない。
どうでもいいことだけど、公式Webサイトには2羽のマゼランペンギンがサルバトールを担当したと書いてある(CGじゃなくてホッとした)。生息地から考えるとマゼランペンギンでいいんだけど、胸の黒いラインが2本線じゃないのはなんでだろう。フンボルトペンギンのようにも見えるが...と、ペンギン警察が言っている。
日本公開直前にイギリスで不祥事ネタが出てきてたけど、 見たかった映...
日本公開直前にイギリスで不祥事ネタが出てきてたけど、
見たかった映画なので、無事に公開できて良かった
映画は良かったです、すごく良かったです
無駄に笑えるところとかも良かったし、
キャラの書き方もキャスティングも良かった
もちろんストーリーも
「ペンギン可愛い〜」くらいの気持ちで観に行ったら、気づけば帰り道アルゼンチンの近代史を本気で調べてた。
1930〜40年代、「南米のパリ」と呼ばれるほど栄えてた時代もあったアルゼンチン。そこから軍事政権、文民主義の混乱、そして1976年以降の反共産主義的な“赤狩り”によって、3万人が行方不明になった“汚い戦争(Guerra Sucia)”の時代へと続いていく。「まず殺す、そして調べる」――そんな狂気が現実だった国の、本当にあった話。
タイトル通り“ペンギン”が出てくるんだけど、これがとんでもなく巧い。
完全に人の言葉、理解してるだろ?ってレベルで人に寄り添ってる。
しかもわざとらしさ皆無で。あんな聞き上手な態度で目の前に立たれたら愚痴も不安も全部こぼしてしまうと思う。
そして能天気で無責任なのに、どこか諦めの影を纏った主人公。
その人生に、ペンギンが無言で並走してくる感じが独特の視聴体験を生み出している。
軍と警察以外、基本的に善人しか出てこない世界も、師走のバタバタした気持ちのあったかい救いになった。
感覚としては 【ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ】を観たときに近いかな。
ただ、この作品はそれで終わらせてくれない。
背後にある歴史が、あまりにも重い。重すぎる。知ってるつもりだったアルゼンチンの過去の知識が、まったく足りていなかったことを思い知らされる。フューチャリスタからデフォルト、フォークランド紛争まで、観終わってから検索が止まらなくなってしまった…。
メッシでも、マラドーナでも、タンゴでも、ステーキでもないアルゼンチン。その黒い顔を知れてよかった。いま向こうは夏らしいし、冬休みに行ってもいいな、なんてことまで考えて航空券まで検索してしまった。
もちろん、「ペンギン可愛い!」で受け取るのも全然ありだけど、
この映画、可愛いだけじゃ帰してくれないわよ。
あと、彼の“その後”まで書いているレビューは、ネタバレにしたほうがいいかもです。
それでは、ハバナイスムービー!
こんな実話あるのか?本当に面白い!
「ペンギンをプールに入れろ!」
若い頃、自分の主張を盾にして、先生や上司に歯向かうことを厭わなかった。
それが「自分らしく生きる」ことだと信じていた。
でも、いつしか上司や取引先のご機嫌を伺い、トラブル回避のために身をかがめ、波風立たせないように生きるようになっていた。
気がつけば作り笑いだけがうまくなっていた。
きっと「大人になる」ってこういうことなんだろうと思い込もうとしていた。
物事をスムーズに進ませるための「大人らしい生き方」が、自分が傷つかずに済むと言い聞かせていた。
それが若い頃に思い描いていた「自分らしく生きる」こととはほど遠いと気づいていながら、見て見ぬふりをして生きてきた。
この映画の主人公トム・ミシェルは、そんな典型的な「賢く生きる」ことを最優先に生きてきた。
そしてそんな自分に嫌気がさして、いつも皮肉ばかり言っていた。
軍事政権下のアルゼンチンで、イギリス人教師が平穏無事に生きていくためには、黙っていること、何も見ないこと、目と耳を塞ぎ、自分を消して生活する必要があった。
しかし、ペンギンと一緒にいることで「透明人間」ではいられなくなった。
この作品にとってのペンギンとはなにか?
主人公にとっての、登場人物にとっての何のメタファーなのか?
そして、作品と向き合った私たちにとって、ペンギン的存在とは何か?
主人公は、ペンギンと出会い、ペンギンとともに生活する中で、「自分らしさ」を少しずつ取り戻していった。
そして、ペンギンを通じて、それまで自ら距離を取ろうとしていた周囲の人間関係を親密なものに変えていった。
親しくなった学校の使用人の若い女性が不当逮捕された時、その瞬間は体が動かなかった主人公が、無謀にも自ら権力者に対して一対一で交渉する。
結果、逮捕されてしまう主人公だが、一晩で解放された時のスッキリした表情は「自分らしさ」を取り戻しつつある顔だった。
自ら進んで危険な交渉をして逮捕される — 以前の「大人らしい生き方」に染まった主人公から見れば、きっとありえないほどバカげた大人気ない蛮行だろう。
しかし、きっと「自分らしく生きる」ためなら無謀なことさえ厭わない姿勢こそ、本来の彼の姿だったのではないか。
「ペンギンをプールに入れろ」
ペンギンの死を悲しむ主人公が生徒たちにそう訴える。
この学校に赴任以来、「そんなことをしたら校長から目をつけられて損をする」(大人気ない、バカバカしい行動)と思い込んでいた。
ずっと自主規制を重ねて、自分の言動範囲を狭めて、身を固くして生きてきた。
でもそんな生き方をして意味があるのか?
損しても、強大な権力に抗っても、「自分らしさ」を忘れずに生きることのほうがずっと意味があるのではないか?
傷ついても、厳しい状況に追い込まれても、「自分」を失わないこと。
賢く生きることが当たり前になっている今を生きる私たちにとって、一番大事だけれど、一番忘れてしまっていることなのかもしれない。
それをペンギンが教えてくれているのかもしれない。
自由の大切さ
生きがいなく、意見を述べたり行動したりすることによって発生する、厄介ごと全てを恐れ怯え、何もしないと諦めていた英語教師。
彼が、アルゼンチンの学校に赴任した折、海岸で拾って懐いたペンギンと暮らす羽目に陥るが、自由の大切さ、人を大事にすることの重要さ、勇気をもって行動することが心を豊かにする……そんなことをペンギンが思いださせてくれた、というファンタジーみたいな実際の話がベースらしく。
裏には1976年のクーデターから始まる(1983年までの)アルゼンチン軍事政権によって、いわゆる「Guerra Sucia(汚い戦争)」と呼ばれる政権批判者たちの無差別逮捕、監禁、拷問、暗殺が行われ、3万人以上が行方不明となった背景があり。
アメリカがやたらウォーターゲート事件を扱ったり、韓国が軍事政権時代を描いたり、ブラジルが過去の独裁政権批判映画を作ったりするように、この時代になって各国政府が行った現代史上の悪行をあげつらうような動きがいろんな国の映画産業=民衆の求めにあり、今は皆、自由と平和を渇望しつつ、被害者への救済を求めていると発言できるところまで回復しているんだな、と改めて思った。
ペットロス。
原作は世界的なベストセラー小説「人生を変えてくれたペンギン」 ご存...
原作は世界的なベストセラー小説「人生を変えてくれたペンギン」
ご存じ、エビータことイザベラ・ペロンの大統領就任から始まった1970年後半のアルゼンチンの混乱・・不条理な軍事政権による混迷の時代のアルゼンチンを舞台にした、ペンギンに纏わるイギリス人英語教師のお話♪
原作の小説では、当時の社会情勢の問題提起というより、ペンギンによって変化する、個人的な日常が描かれていて、それはそれで、心温まるお話でしたが、映画では、そこに、当時の厳しい社会情勢という強いスパイスを加えて、単なる、かわいいだけの動物物語ではない映画に創りあげられています♪
大作ではありませんが・・素敵な映画です。
英国人教師が発する、思わず、クスッと笑ってしまうシニカルな言葉の数々。いかにも英国人ぽくて、好物です、こういうオシャレさ(笑)
そう言えば「モンティパイソン・・・」なんて呟いてましたね、トムさん♪
映画の終盤には・あちこちから嗚咽が・・・・。
時代背景がよく分からなかったけど
2025年劇場鑑賞342本目。
エンドロール後映像無し。
最近の話だと思って観に行ったら50年くらい前の話でした。英語圏から英語圏じゃないところに来たのは分かるけど、スペイン語話してるけどスペインっぽくないし、どこか分からないままでした。後で調べたらイギリス人がアルゼンチンに来た話だそうです。
非常に政局が不安定で、何の罪もない人が適当に逮捕されるめちゃくちゃな状態でペンギンを飼うことになる教師という実話。実話だから仕方ないけど要素が渋滞しとる!
コワモテに見えるけどそれなりに性欲があるせいでペンギンを飼うことになるってこれだけ見たら意味分からないでしょうが、そうだから仕方ない。ここも実話なの?
ペンギンと授業する事になるのですが校長全然気づかねぇな!
最後泣けそうで泣けないまま終わりましたがちょっとだけ優しい気持ちになれました。
鳥ってあんなになつくもんなんですね、CGじゃないなら演技も完璧でした。かわいい。臭いらしいけど(笑)確かに動物園でペンギンの近くに顔近づけたらめっちゃ魚臭かったけどあれエサの臭いじゃなくて彼らの臭いだったのか・・・。
良作
日常がおとぎ話になりうるという実話ベースの傑作
軍事政権下のアルゼンチン、イギリス人の英語教師がひょんなことからペンギンに懐かれて……。間違いなく息苦しい世界を描いているけれどほどよくコメディテイストで、でも深刻で、そして心を打つ。人の心も世界も多面的で複雑で、見えるものや聴こえるものだけが真実というわけでもない。心を閉ざし深入りを避けるのは無関心ってわけではないように。
私には教師が授業で用いた詩のいくつかが響いた。想いや感情を詩や物語にすることやそれを味わうことの豊かさを痛感したというか。何気ないシーンでも言葉や映像で残すことや味わうことがおとぎ話になり救いになりうるという、日常に潜む奇跡を垣間見たような感覚。
熱くない『今を生きる』みたいな、自然体な世界がしっくりきた。『フル・モンティ』のピーター・カッタネオ監督作品。
プールを直線的に泳ぐペンギンの爽快感は、アルゼンチンの人々が希求する自由そのものだ
ペンギンとの同居というと、ウクライナの作家アンドレイ・クルコフの「ペンギンの憂鬱」を思い出しました。この小説でも主人公は恋人に去られた後、ペンギンと暮らし始めていました。
さて本作、予定調和的なところはあるものの、ペンギンの存在が皆にいい変化をもたらしたのことには素直に感動させられます。
印象深いのは、ソフィアを拉致した強面の男とトムが対峙するシーン。男の娘がペンギンに興味を示したのをきっかけに、トムはソフィアの救出交渉を試みます。トムが自分の娘の不幸を語り、情に訴えることで上手くいくかと思わせましたが、現実はそう甘くありません。結局救出は不首尾に、トム自身も逮捕されてしまいます。それでも皮肉屋でことなかれ主義に染まっていたトムが、勇気を奮い立たせたことは大きな変化です。まさにペンギンがサポートしたと言えるのではないでしょうか。
才人スティーブ・クーガンがくたびれた英語教師を好演。前半で見せるダンスステップもなかなかのもの。
校長役のジョナサン・プライスは「エビータ」でペロン大統領を演じており、アルゼンチンづいています。
そこにペンギンがいただけで癒され泣かされる
重油まみれのペンギンを、女目当てで助けた英国の教師が、ペンギンを買っていただけで彼自身と周りの人々も変わっていく。
改めて知る軍事独裁政権の理不尽と恐怖。
その社会の中で、処世術として自分を出さずに受け流していた気持ちが、変わっていくさまが感動的。
最初は全く飼う気がなく、ペンギンもただ歩いてえさを食べているだけで、かわいらしいような余計な演出をしていない、全体的に過度な演出を抑えているのがいい。
そして、あっけない最期。
浴室の隅に集められていた”宝物”を見つけ、泣いてしまうところが一番良かった。
観ているこちらも泣かされた。
フアン・サルバドールの本心が知りたい
エサやりがエサ
ブエノスアイレスの名門学校に赴任してきた英国人英語教師がこどもたちの成績とやる気を引き出す話。
特権階級の子供たちが通う名門校で、学級崩壊気味の下位中学の担当になったやる気も無い教師が、政治的混乱で1週間の休校になった折にウルグアイに息抜きに出かけて巻き起こって行く。
逆ナンパしてきた女には逃げられ、下心から助けたペンギンが残るし、逮捕をちらつかされてあれよあれよとなぜか連れ帰ることに…ってホントかよw
半分以上は汚い戦争と呼ばれたアルゼンチンの軍事政権下の情勢を背景に描いているし、なんならそっちが主の様な描き方だけれど、なんでキレイな着地に至ったか=帰って来れたか良くわからんし…面白かっだけれど肝心なところをボヤかされた感じ。
背景は暗いけど、人々は温かい
全48件中、21~40件目を表示
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