「「ペンギン可愛い〜」くらいの気持ちで観に行ったら、気づけば帰り道アルゼンチンの近代史を本気で調べてた。」ペンギン・レッスン きーろさんの映画レビュー(感想・評価)
「ペンギン可愛い〜」くらいの気持ちで観に行ったら、気づけば帰り道アルゼンチンの近代史を本気で調べてた。
1930〜40年代、「南米のパリ」と呼ばれるほど栄えてた時代もあったアルゼンチン。そこから軍事政権、文民主義の混乱、そして1976年以降の反共産主義的な“赤狩り”によって、3万人が行方不明になった“汚い戦争(Guerra Sucia)”の時代へと続いていく。「まず殺す、そして調べる」――そんな狂気が現実だった国の、本当にあった話。
タイトル通り“ペンギン”が出てくるんだけど、これがとんでもなく巧い。
完全に人の言葉、理解してるだろ?ってレベルで人に寄り添ってる。
しかもわざとらしさ皆無で。あんな聞き上手な態度で目の前に立たれたら愚痴も不安も全部こぼしてしまうと思う。
そして能天気で無責任なのに、どこか諦めの影を纏った主人公。
その人生に、ペンギンが無言で並走してくる感じが独特の視聴体験を生み出している。
軍と警察以外、基本的に善人しか出てこない世界も、師走のバタバタした気持ちのあったかい救いになった。
感覚としては 【ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ】を観たときに近いかな。
ただ、この作品はそれで終わらせてくれない。
背後にある歴史が、あまりにも重い。重すぎる。知ってるつもりだったアルゼンチンの過去の知識が、まったく足りていなかったことを思い知らされる。フューチャリスタからデフォルト、フォークランド紛争まで、観終わってから検索が止まらなくなってしまった…。
メッシでも、マラドーナでも、タンゴでも、ステーキでもないアルゼンチン。その黒い顔を知れてよかった。いま向こうは夏らしいし、冬休みに行ってもいいな、なんてことまで考えて航空券まで検索してしまった。
もちろん、「ペンギン可愛い!」で受け取るのも全然ありだけど、
この映画、可愛いだけじゃ帰してくれないわよ。
あと、彼の“その後”まで書いているレビューは、ネタバレにしたほうがいいかもです。
それでは、ハバナイスムービー!
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