「パラサイト 半地下の魔族」悪魔祓い株式会社 横浜太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
パラサイト 半地下の魔族
なんで、あいつらは信者でもない他人の家の地下でお祈りしてるんでしょ。
布教活動だっていうなら、コスパ悪すぎません!?
よしんば、もともと地下に祭壇があったということなら、上に建ってる家には信者を住ませとけよ、と思ったり……。
そう考えると、これはかの名作のパロディなのかな? と真剣に考えてます。
(こっちは半地下じゃなくて全地下でしたが……)
そもそも、本作は撮影、照明、ロケ地、脚本とことごとくイマイチな印象……。
ビジュアルはどこか安っぽいし、違和感のあるライティングが随所に見られます。
違和感と言えば、隔離病棟の個人病室が異様に広すぎるし、姉妹が住むには不釣り合いなほど巨大な豪邸も謎。しかも、内観の生活感が薄い……。
作品冒頭、ニュースキャスターに「悪魔崇拝が流行って大変」と原稿を読ませて状況説明を済ませようとするのもうまくないし、ゾンビのように街を徘徊し、警察官すら襲われてる状況って、もはや国家的な緊急事態では!? それにしてはのんびりしすぎていて、世界観に入っていけません……。
あと、姉妹の引っ越しを手伝った大家のおばちゃんの「大きい家具は倉庫の方に運んでおいたから」的なセリフ、あれいりますか?
あんな広い家に引っ越したのに、最初っから倉庫に入れとく”大きい家具”ってなに?
しかも、倉庫の地下にあれがあるんなら、わざわざあのセリフをおばちゃんが言う必要ってあるんでしょうか?
どう考えても、あとあと倉庫が怪しいと主人公たちに気づかせるためだけのセリフですよね……。
序盤で主人公たちが悪魔降臨の儀式を止めに行きますが、そのときにロビーをうろついていた薬物中毒者みたいな人々もなんなんでしょ。
あそこで順番を待って、名前を呼ばれたら悪魔をチューっとお注射されるのかな。。
うそ臭いアヘン窟みたいな描写がなんとも……。
そして最大の問題は、これがマ・ドンソクの主演作だってこと。
マブリー主演のアクション作品を観に行くお客さんは、そのほぼ全員が「最終的にマブリーが剛腕で敵をねじ伏せて勝つ」というストーリーを期待してるわけで、そのために重要なのはたぶん一つだけなんです。
この手の作品は、いわば勝ち抜きトーナメントで、片方の端にはマブリーがいて、もう片方の端にラスボスがいる。1本の映画を通して双方が勝ち上がっていって決勝でぶつかるわけですが、マブリーが決勝に進むのは確定事項なわけで、ここで大切なのは、いかにラスボスを圧倒的かつ恐ろし気に勝ち上がらせていって、決勝戦への期待値を高めていくか? ということだと思うんです。
(この辺りは、『犯罪都市』シリーズが本当にうまくやっている印象)
でも、今回のラスボスはというと……悪魔に憑りつかれた少女。もちろん、彼女を殴り飛ばすわけにもいかず、結果としてどこから湧き出たかわからないようなショッカーもどきをぶっ飛ばすのがせいぜい……。
(壁紙の中で待機してたあいつとかなんなん!?)
マブリー主演作ということで一定の期待感を持って観に行ってしまったこともあり、今年ワースト級の衝撃作となってしまいました。
ラッセル・クロウの『ヴァチカンのエクソシスト』とは違うテイストだろうと思ってはいたけれど、もう少し近しいクオリティの作品であってほしかった……。
せめてもう少し出来が良ければ、あのラストのジャンプの打ち切り漫画みたいな乱暴な終わらせ方(「俺たちの戦いはまだまだ続くぜ!」的な……)に憤りも感じたんでしょうが、やっと終わったとホッとしてしまったのが悲しいです。
とはいえ、マ・ドンソクの肉体のパンプアップ具合はさすがでしたし、悪魔に憑りつかれたヒロインを演じた女優さんの頑張りには拍手を送りたいので、星1つつけさせていただきました。
(小声で)ここだけの話、同じお金を払うのであれば、同時期に公開されているジャッキー・チェンの『シャドウズ・エッジ』の方がおすすめです。
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