「「緑の光線」は幸運のしるし?」シャルルとリュシー ばとーさんの映画レビュー(感想・評価)
「緑の光線」は幸運のしるし?
ネリー・カプラン レトロスペクティヴにて鑑賞。今回公開4作品の中でもかなり気に入った作品。笑いとペーソスが詰まったロードムービーで、最後のドンデン返しあり、味わい深いエンディングありと映画として申し分ない作りあがりでした。ふたりの名前が曲名の主題歌の軽妙なシャンソンも良かった。
主人公は目が利かず(重要な伏線)骨董店を破産させ、詐病で碌に仕事しないダメな夫と、昔は歌手でステージにも立ってた(重要な伏線)が今は掃除婦として家計を支える生活に疲れた妻。
このふたりが詐欺被害にあって全財産を失ったうえに、成り行きで警察に追われることとなる。一文なしで空きっ腹かかえて南仏を逃げ回るうちに怪しい人々と出会ったり、海で漂流したり、強盗に身ぐるみ剥がれたり(本当にスッポンポンにされる)と結構悲惨な状況にどんどん追い込まれるが、土壇場で打った大芝居から事態は思わぬ方向へ…というお話。
コメディなんで最後はハッピーな結末なんだが、隠居して悠々自適な生活を送るわけではなく彼らが最後に選ぶ生き方が素敵です。日本なら矢口史靖監督あたりでリメイクしたらいいかなという雰囲気(山田洋次はヤダ)
ところで、公式解説の「エリック・ロメールより数年早くアレを画面に捉えた…」という思わせぶりな説明の「アレ」とは主人公たちが逃避行中に出会う女占い師(ネリー・カプラン本人)と海辺で目撃する「緑の光線」という気象現象。ロメール監督の同名作品が1986年だけど本作は1979年だよと言いたいようだ。
この水平線に太陽が沈む一瞬に発するとされる緑の光線を目撃すると、自分と他人の心の中が見えるようになる(幸運のしるしという記述もある)という言い伝えで、さらに元ネタを辿るとジュール・ヴェルヌの同名の恋愛小説なんだって。掘ったら意外に深かった。
鑑賞時にはこのシーンの意味が???だったがアレも結末を暗示してたのね。
ばとーさんのレビューで心から同感したのが、二人が選ぶ生き方です。二人とも素敵、互いを大切に大事にしている!カプラン監督の映画は初めて、そしてまだ2作しか見ていませんが、今作が本当に気に入り可愛く大好きです!

