シャドウズ・エッジのレビュー・感想・評価
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久々に満足度の高いジャッキー映画
レイトショーにて先ほど鑑賞済みです。時間帯のせいか客足はまばらでしたが客層は根っからのジャッキーファンの様な方々ばかり。
最新技術VS古参の技術という構造から個人的には好きな設定で、若手と老練スターのアクションを堪能出来ました。
アクション以外の追跡シーンやレオン•カーフェイとのアパートでのシーンも緊張感が伝わってきて約2時間半、引き込まれっぱなしでした。
思った以上にジャッキーのアクション(直近の作品では少し物足りなさや過剰なコミカルさを感じてました)が観れて満足です。
実は双子じゃなく三つ子だったという設定には若干の冗長さを感じましたが、全体的には良い映画を観たな、という感想です。
個人的には作品のシリアスさの余韻とNG集(お約束なんでしょうが)とのギャップを感じ、無くてもよかったのかな?と思ってしまいました。
劇中以外の様子が垣間見えて嬉しいは嬉しいのですが‥‥。
続編ありきの脚本だったのでしょう。期待したいのですが仕上がり面で息切れせず、ぜひ最後のセリフのようにescalateしてほしいです。
ジャッキー健在
静かに、しかし確実に効いてくる。“今のジャッキー・チェン”の最適解。
本作は、観終わった瞬間に拳を突き上げたくなるタイプの作品ではない。だが席を立ち、帰り道を歩きながら、そして翌日になってから「やっぱり良かったな」と思い返してしまう、そういう種類の映画だ。これは実はかなり希少で、昨今のアクション映画においてはなおさらである。
まず何より言っておきたいのは、「この数年で一番ジャッキー・チェンが、しっかり動いている」という点だ。ただし誤解してはいけない。若い頃のような無茶なスタントや派手な宙返りをしているわけではない。そうではなく、走り、止まり、間合いを測り、周囲を読む。その一挙手一投足が“身体の演技”として成立している。引きの画で逃げないカメラワークが、それを裏付けている。誤魔化しの効かない構図で成立しているという事実だけで、これはもう相当な信頼に値する。
本作が賢いのは、「レジェンドが無双する映画」にしなかった点だ。物語の軸は、老兵が若者を鍛え、チームとして強敵を追い込んでいく過程にある。しかし、ここで描かれる“教育”は熱血でも説教でもない。教えるのは技ではなく判断、正解ではなく考え方だ。全員を同じ方向に揃えるのではなく、ズレたまま機能させる。このチーム像が実に現代的で、現場を知る人間ほど膝を打つはずだ。
ヒロインのチャン・ツィフォンも非常に良い。守られる存在でも万能な存在でもなく、現実の延長線にいる実務的な人物として物語を支える。感情を過剰に説明せず、表情と間で語る演技が、抑制されたジャッキーの芝居とよく噛み合っている。彼女がいることで、この映画は漫画的な誇張から一歩踏みとどまり、現実味を保っている。
上映時間は141分とやや長めだが、緊張感は最後まで途切れない。派手な山場を連発するのではなく、小さな判断ミスや違和感の積み重ねで観客を引っ張る構造になっているため、気が抜ける瞬間がない。終盤に訪れるのは爆発的カタルシスではなく、張りつめていた緊張が静かに解ける感覚だ。これもまた、大人の映画である。
総じて『シャドウズ・エッジ』は、「今のジャッキー・チェンだからこそ撮れた映画」だと言っていい。ノスタルジーに寄りかからず、若さを偽らず、それでもなお第一線に立ち続ける。その姿勢自体が、この映画最大の説得力であり、最大の見どころだ。派手な宣伝よりも、口コミでじわじわ広がってほしい。そう願いたくなる、誠実で、静かに強い一本である。
ドキドキしたいなら!
アクションスターとして覚醒したレオン・カーフェイの悪役ぶりが堪能できる
監視カメラとAIを駆使した捜査システムを撹乱しつつ、4人の強盗犯が、アクロバティックな身のこなしで警察の追跡をかわしていく冒頭のアクションシーンから、一気に作品の世界に引き込まれる。
サイバー犯罪に、昔ながらのアナログな追跡術で立ち向かおうとするアイデアは面白いし、ジャッキー・チェン演じる老刑事と、彼の因縁の相手である若い女性刑事とのバディぶりも楽しめた。
街中でチラリと横顔を見かけただけで、不鮮明な写真しか手掛かりのなかった「影」を特定してしまうというのは、いくらなんでも話ができ過ぎているが、その後の、彼が住むアパートの部屋までの追跡劇は、ゾクゾクするようなスリルとサスペンスを味わえたし、老刑事や女性刑事と「影」との交流ぶりも、ヒリヒリするような緊張感に溢れていて見応えがあった。
アパート内での老刑事と刺客との格闘に続いて、傭兵部隊による警察本部の襲撃と、養護院での「影」と殺し屋達との激闘が並行して描かれる中盤の見せ場も、アクション映画としての醍醐味を堪能できるし、「影」と息子達との確執が浮き彫りになる展開からも目が離せなくなる。
何よりも、二枚目のイメージが強かったレオン・カーフェイが、すっかり老け込んだ上に、悪役を演じていることには驚かされたし、狡猾で冷酷な暗殺者ぶりが、思いのほかサマになっていることにも、二度、驚いてしまった。
当然、スタントを使っているとは言え、歳の割には体も良く動いているし、何十人もの殺し屋をナイフ1本で血祭りに上げていく鬼気迫る姿や、ジャッキー演じる老刑事と肉弾戦で互角に渡り合う様子からは、「第二のリーアム・ニーソンか!」と思えるほどのアクションスターぶりを感じ取ることができた。
彼が演じる「影」のキャラクターにしても、養護院で逮捕されたかと思ったら、警護の警察官達をなぎ倒して逃走し、老刑事との一騎打ちで、ようやくカタがつくのだろうと思ったら、なんとジャッキーまでも倒して逃走するなど、そのしぶとさとしつこさは呆れるばかりで、逆に、ヴィランとしての強烈な魅力を放っていたように思う。
てっきり、何かの伏線になるのかと思っていた「警察官として市民を助けたことによる任務の失敗」というエピソードが、台詞の形でしか回収されなかったことには物足りなさを感じなくもないが、それでも、チームとして結集した警察の面々が敵を包囲するラストの展開には、思わず胸が熱くなってしまった。
もう一つの伏線かと思われた、「影」の息子が死ぬ間際に呟いた英単語の意味は、どうやら次回作で明らかになるようなので、今は、それを、楽しみに待つことにしよう。
圧倒的なレオン・カーフェイ
ジャッキー・チェン主演と聞いて観に行きましたが、良い意味で予想を裏切られました。
もちろんジャッキーの存在感と、年齢を感じさせないアクションのキレは健在。でもそれ以上に強烈な印象を残すのが、敵のボス役を演じるレオン・カーフェイです。静かな佇まいの中に漂う圧と説得力は圧巻で、気づけば目で追ってしまうほど。
サイバー犯罪を軸にした物語は現代的ですが、作品の芯にあるのは「人が人をどう見るか」「経験がどう受け継がれるか」という普遍的なテーマ。ベテランと若手がぶつかり合いながら、少しずつ信頼を築いていく過程が丁寧に描かれていて、派手なアクションの裏でしっかりとドラマが積み上がっていきます。
ジャッキー・チェンとレオン・カーフェイという二人の“巨星”に挟まれた若手俳優たちも、アクション・演技ともに見せ場があり、作品全体に良い流れを生んでいました。
単なるアクション映画ではなく、世代を越えて受け継がれていくものを感じられる一本です。
すごく面白い映画にジャッキーまでいるって感じ!
ロートルvsロートル
またこのジジイが強いわ、しつこいわ、しぶといのなんのって
冒頭のスタイリッシュスパイアクション的なシーンも見応えバッチリ
ただねぇ、展開が早すぎてよく分かんない
双子?じゃなくて三つ子?
そもそもロン毛眼鏡君は逃げてね?
続編あるのかな?
まだまだ現役っすね成龍師父
原作の「天使の眼、野獣の街」は未視聴
圧倒的!!
ジャッキーとレオンのベテラン、若手達の勢いあるアクション
【イントロダクション】
ジャッキー・チェン、レオン・カーフェイ出演。隠居生活中の追跡のエキスパートが、伝説の元暗殺者率いるサイバー犯罪集団を追うべく、若き精鋭を集めた追跡チームを結成する。
監督・脚本は、ジャッキー主演の『ライド・オン』(2023)も手掛けたラリー・ヤン。
中国にて4週連続興行収入ランキング1位を記録する熱狂的な盛り上がりを見せた。
【ストーリー】
マカオ。ネオン煌く華やかな街の裏で、正体不明のサイバー犯罪集団が暗躍していた。司法警察局は、AIプログラムを用いた追跡捜査を駆使するが、天才ハッカー・熙蒙〈シーモン〉(ツーシャー)による監視カメラ映像の差し替えにより、彼らを取り逃がしてしまう。
警察は、彼らが手に入れたのが富豪実業家の仮想通貨口座の暗号化キーだと知ると、マカオタワー内のデジタル資産管理会社に現れると推測する。やがて、サイバー犯罪集団がマカオタワーに侵入すると、彼らは予想外のデータとして、15億香港ドル相当の仮想通貨を発見する。彼らはリスクを犯してデータのコピーを取った為に、駆け付けた伍耀磊〈ウー・ヤオレイ〉(ワン・ズーイー)率いる警察と戦闘になり、高級ホテル、ウィン・マカオへの逃亡を余儀なくされる。しかし、シーモンによる監視カメラ映像のハッキングと、メンバーの巧みな変装技術によってその後の警察の追跡を躱し、姿を消した。
彼らを束ねているのは、“影”と呼ばれる伝説の暗殺者・傅隆生〈フー・ロンション〉(レオン・カーフェイ)だった。彼は孤児院にいた5人の子供達を養子として迎え入れ、彼らを凄腕の犯罪集団に育て上げたのだ。しかし、マカオでの一件では、計画外のデータコピーによる警察との鉢合わせ、胡楓〈フーフォン〉(ジュン-SEVENTEEN-)のピアスのミスで危うく正体がバレそうになり、援護したフーもまたマカオタワーで売店の店員に写真を撮られてしまった。その事に怒りを露わにしたフーは、フーフォンとシーモンを責め立て、シーモンの兄弟である熙旺〈シーワン〉(ツーシャー)に止められる。
かつて暗殺者として追われる身だったフーは、物乞いをしていた幼いシーワンに救われ、彼の居る廃園寸前の児童保護施設を救うべく、強盗によって得た金で施設に資金援助をしていたのだ。
一方、フー達を取り逃がし、なす術の無い警察は、一線を退いた追跡のエキスパート・黄徳忠〈ホワン・ダージョン〉(ジャッキー・チェン)に頼る事になる。隠居生活で多頭飼育している犬の散歩に向かうホワンを、若き女性警察官・何秋果〈ホー・チウグオ〉(チャン・ツィフォン)と、彼女に密かに想いを寄せる同僚の劉錦肖〈リウ・ジンシャオ〉(ジョウ・ジェンジェ)達が密かに尾行する。しかし、ホワンはチウグオ達の尾行を容易く見抜き、逆にコンタクトを取ってくる。
司法警察局へとやって来たホワンは、膨大な監視カメラ映像の中から、犯人グループの背丈や仕草、そして“監視カメラを確認した”という行動から、瞬く間に実行犯4人を特定する。そして、店員の撮ったブレた写真から裏で糸を引くフーの存在を察知する。
ホワンはローテクな手法を好み、フーを追跡すべく、チウグオやリウを含めた追跡チームを結成。自らの追跡のノウハウを叩き込み、街にて追跡調査を開始する。そして、追跡15日目、遂にホワン達は市場で買い物をするフーの姿を捉えるのだった。
【感想】
142分という長尺だが、テンポ良く進むストーリーと絶えず展開されるアクション、意外な展開の連続に、尺の長さを感じさせなかった。
また、共に老齢ながらも、ジャッキー・チェンもレオン・カーフェイも体を張って頑張っていた。クライマックスでの一騎打ちシーンの壮絶な戦いは必見。
一方で、ホワンとチウグオ、フーとシーモン&シーワンとの擬似親子関係、フー達の計画の真の狙いや裏切り、チームプレイによる追跡劇と逃亡劇と、非常に要素が多く、少々混乱させられる点もあるにはある。しかし、その要素の多さが作品の面白さや尺の長さを感じさせないテンポ感にも繋がっているので、一長一短といった所か。
とにかくアクションシーンの力の入れ具合が素晴らしく、ベテランも若手も、皆よく動く。近接格闘からナイフアクションにガンアクション、棒術に至るまで、多種多様なアクション演出が拝めるのも非常に贅沢。
一方で、地味になりがちな追跡捜査シーンも、メンバーのあだ名やコミカルなやり取り、フーを発見してからのバレる・バレないのハラハラさせる展開と、緩急のバランスの付け方が素晴らしく、アクションだけじゃない本作の確かな魅力を感じさせた。
クライマックスでフーを追い詰める際、チウグオの元に仲間達が集結していく様子は、『アベンジャーズ』のような安心感と盛り上がりがあった。序盤でホワンが語ったように、狩りとはチームプレーなのだと感じさせられる。
警察の捜査にAIが用いられているというのも現代的なアプローチだと思った。ローテクとハイテクを合わせた捜査でフー達を追い詰める様子には、単にAIを悪として排斥するのではなく、共存の道を模索する姿勢に好感が持て、これからの時代の刑事モノのスタンダードになっていくのだろうなと感じた。
残念なのは、犯罪集団にアイドルやイケメン若手俳優を起用し、序盤こそパルクール風のイケイケ逃亡アクションを展開していたにも拘らず、クライマックスではジャッキーの足止めをした2人以外はアッサリ捕まっていたりと、せっかくの動ける若手を最後まで活かしきれなかった点は勿体無いと感じた。彼らにまで見せ場を与えたら、流石に要素が多くなり過ぎる気もするが、そもそも本作は詰め込み過ぎなくらいの積載量なので、大差無かったとも思うのだが。
【ジャッキーだけじゃない。豪華絢爛な出演陣】
70歳を超えたジャッキー・チェンの相変わらずのアクションスターぶりを堪能出来るだけでも、鑑賞料金分の価値がある。
追跡のエキスパートとして、ローテクな手法を好み、メンバーに変なあだ名を付ける悪癖があれど、リーダーとして頼もしく、チウグオとの擬似親子関係には胸を熱くさせられる。フーが“影”として裏稼業を行なっているのと対比するように、ホワンもまたかつての自分の青臭い正義感から死なせてしまった相棒の娘であるチウグオの人生を、人知れず“影”として見守り続けてきたというのは熱い。クライマックスで若手達を相手に棒術アクションを繰り広げる姿もコミカルで往年のジャッキー・アクションらしさに溢れている。
レオン・カーフェイ演じる“影”ことフー・ロンションのラスボスとしての存在感、レオンの熱演ぶりが凄まじい。シーモン達養子を犯罪集団に育て上げながらも、その奥底には不器用ながらも確かな“親子愛”が存在しているのが、彼を単に冷酷無比な悪役に留めない魅力に繋がっている。また、凄腕のナイフ使いという設定も良い。思えば、今年日本公開された『トワイライト・ウォリアーズ/決戦!九龍城砦』(2024)でも、テレンス・ラウ演じるソンヤがナイフ使いとして大活躍していたが、香港アクション映画界ではナイフ使いがトレンドなのだろうか。
ただし、警察署への襲撃部隊が銃で武装してホワン達とガンアクションを繰り広げていたのに対して、孤児院跡地でロンションを襲う刺客達が、皆ナイフや斧という近接武器しか持っていないというのは、脚本の都合を感じた。擬似的な親子の情があろうと、本当に伝説の暗殺者を葬ろうというのなら、こちらにこそ銃で武装した部隊が必要だと思うのだが。
シーモンとシーワン、そしてミッドクレジットで判明する“3人目の兄弟”と、1人3役を演じたツーシャーの熱演も見所。特に、シーワンとシーモンは別人に見えるくらいの演じ分けを披露しており、彼の存在もまた本作において欠かせない。
双子設定かと思いきや、ミッドクレジットで三つ子だと明かされる展開は、よくある話だが面白くはある。勘の良い人ならば、過去回想シーンやシーモンのチャット相手の様子で気付けたのかもしれないが。
ヒロインであるツイグオを演じたチャン・ツィフォンは、男だらけの本作を彩る。幼さの残る顔立ちは、若く無鉄砲なチウグオの姿と重なるし、ホワンとの擬似親子関係にほっこりとさせられる。ホワンとフーの言う通り、喧嘩も強かった。
【総評】
ベテランと若手、双方による気合いの入ったアクションと、目まぐるしく展開されていくストーリーに、最後までスクリーンに釘付けにされた。
ミッドクレジットで、ホワン、フー、チウグオに懸賞金が掛けられた事で、続編を作る気満々な幕引きには少々冷めはしたが、このクオリティで“次”があるのなら、また劇場に足を運びたいと思う。
そっくり
皆さんのおすすめで遅ればせながら追跡班に参加してきました。
バイオレンスとアクロバティック格闘!最高!
バイオレンスとアクションの強度が凄まじく映画館で観て大正解と思える映画でした!
エンディングの映像まで大好きな要素の全てがギュッと詰まっていたこと、ジャッキー・チェンとレオン・カーフェイのアクションシーンが想像をはるかに超える圧倒的な力を放っていたことにも感涙です!
昔ながらの捜査追跡班で指揮をとる元刑事(ジャッキー・チェン)の過去にも現在の姿にもホロっとさせられ、
元暗殺者の通称"影"(レオン・カーフェイ)の不死身で圧倒的悪のカリスマぶりに震えました。
血なまぐさいバイオレンスも超絶クールなアクロバティックな格闘も最高です!
また、捜査班とサイバーテロ集団の中で対比して描かれる仲間たちとの疑似家族的な関係性、その中にある信頼や愛情、仲間への敬愛の念も良きスパイスでした。
捜査班の主メンバー、犯罪集団の主メンバーともにとても魅力的に演出されいました。
これら多様なエンタメ要素がちりばめられていて、ストーリー展開のスピード感とともに飽きることなく楽しめる映像に大満足です!
途中、"ちょっと一息つきましょう"的に挿入される過去エピソードの時間が観る側にとってほんとのブレイクタイムになってた印象です。
余談ですが、
サイバーテロ集団の若者たち、次々に変装しながら逃亡するシーン、MVかと思うくらいクールなカットの連続で、それらがあまりにもカッコ良くて笑いました!(パンフレットに掲載されていなかったことが残念!)そんな遊び心も最高です!
見ながら勢いに圧倒される
矛盾なのか超展開なのかがわからない
正直、「そんなにいい映画か?」と思った。
善(ジャッキー・チェン、警察官)と悪(レオン・カーフェイ、強盗団)の両面からドラマを進めるという筋立てはすごく良かったと思うが、積載量をオーバーしている印象を受けた。
女性警官が努力と忍耐によって手柄を立てていくサクセスストーリーと、犯罪者集団の任侠ものという二つの側面があり、複雑な構成をしている。
レオン・カーフェイが息子として愛した双子(実は三つ子だったけど)の孤児を殺す流れがわかりにくい。観終わった後にしばらく頭の中で整理しないと繋がらなかった。テンポを良くし過ぎて繋がってこない雰囲気で楽しむ映画な気もするが、それにしても芯になる部分は丁寧にやってほしかった。
真に正面から向き合って親子のようになったジャッキーと女性警官に対し、レオンは暴力によって孤児たちを従えていた、なら対比としてわかりやすいと思う。
のだが、レオンはレオンで愛情を持って接していたので、それがストーリーがわかりにくい大本だと思う。感情が矛盾しているような気がするし、画を優先してすっ飛ばした展開にしている部分も多い。
犯罪者の四人がアイドルグループみたいなイケメン集団で過剰過ぎるくらいの細かなカット割りでアクションを魅せていく冒頭のシーンに、一番違和感を感じた。捕まる時は見せ場なく呆気なく逮捕されてるし、「すごくカッコいいけど大したことしてないな」と思ってしまった。あと、殴り合いをしているのに顔が綺麗すぎる。
あと、ラストシーンで捜査チームがレオンを追い詰めるシーンは日本の刑事モノみたな演出と音楽の入り方をしていて苦笑してしまった。レオンは追い詰められる前に戦って切り抜けたらいいじゃん、と少し冷めた気分。
ジャッキー映画は「フォーリナー」で失望したが、今作ではシリアスながらもどこか懐かしいコミカルな要素もあってそこは良かった。
いや、けど、やっぱりライフルを握るジャッキーは……見たくなかった……かも。
クライムミステリーとしては難しい部分はあるが、一気に駆け抜けるパルクールっぽさがあった
2025年の中国&香港合作の映画(141分、G)
リメイク元は2007年の映画『Eye in the Sky(監督:ヤン・ナイホイ)』
サイバー犯罪に関わることになった「追跡のプロ」を描いたクライムアクション
監督&脚本はラリー・ヤン
原題は『捕風追影』で「風を捉えて影を追え」、英題は『Shadow’s Edge』で「影の刃」と言う意味
物語の舞台は、中国・マカオ特別区
サイバー犯罪の捜査にあたっているマカオ司法警察は、ある犯罪グループを追って、捕獲作戦を実行していた
相手は複数人の男たちのようで、ある金庫から何かを盗む目的でホテルへと潜入を開始していた
司法警察のサイバー班の責任者・ワン部長(ラン・ユエティン)の指揮の元、サイバー班と実行部隊が連携を取っていたが、敵の陽動作戦にハマり、さらに防犯カメラのシステムをハッキングされてしまい、相手を取り逃してしまった
局長のカル(メルヴィン・ウェン)は、かつて「追跡のプロ」と呼ばれていたホワン(ジャッキー・チェン、若年期:グ・ソドン)を呼び戻すことを決め、彼の行方を追って、テオグオ(チャン・ツイフォン)と同僚のジンシャオ(ジョウ・ジェンジェ)が追跡を開始していた
だが、あっさりと尾行はバレてしまい、ホワンは思惑通りにマカオ司法警察に力を貸すことになった
彼は「追跡班」の再結成を必要とし、テオグオ、ジンシャオを筆頭に9名で構成されるチームを作り上げた
彼らの任務は街に溶け込むことであり、「影(のちにフー・ローシャンと判明、演:レオン・カーフェイ、若年期:バル・ジータン)」を特定することだった
追跡が始まって15日が経った頃、ようやく「影」を宝西市場にて見つけることに成功する
追跡班はホワンの指示に従って距離を保ちながら、顔の割れていないテウグオを最前線に送り込む
そして、テウグオは落とし物を探すふりをしながら、水溜まりに映った「影」の顔を捕捉することに成功する
さらに、住人を装って「影」と一緒にエレベーターに乗り込むのだが、その行動を危険だと感じたホワンは、彼女の父親のふりをしながら、「影」と日常会話を交わすことになった
「影」は思うようには動いてくれないものの、ホワンの仕掛けによって部屋番号を特定することができた
そして、チームは「影」の動く方向を見定めることになったのである
物語は、かなり登場人物の多い作品で、冒頭では誰が誰なのかが把握しづらい
それでも、主要メンバーはパンフレットにも載っている15人程度が識別できればOKで、それ以上を調べようとしても、なかなか情報を得ることはできない
マカオ司法警察VS「影とその息子たち」と言う構図になっていて、「影」の養子が6人登場する
その中のシーワンとシーモンが双子(一人二役、演:ツーシャー)なのだが、武闘派&ドライバーが兄のシーワンで、メガネのハッキングが弟であると認識できれば良い
ポストクレジットでは、3人目となるシータイが登場するのだが、この人物が次作以降に登場するキーとなる人物で、おそらくはホワイトハッカーであると考えられる
ホワンはこの男と繋がっていて、最後には「多国間追撃任務」が発令されたことが仄めかされていた
映画は、老人二人のアクションに加えて、「影軍団4人のパルクールっぽいアクション」も見どころとなっている
展開がかなり速く、テウグオと「影」のスマホの遠隔ハッキングが何のために行われて、どうなったのかは把握しづらいように思えた
この一連のシーンは、シーモンがホワンとテウグオを怪しんで仕掛けたトラップで、彼の操作するモニターには、テウグオのスマホの内部が見られるようになっていた
おそらくはそのスマホの情報を本部で抜き取った際にバックドアが仕掛けられる仕様になっていて、それが本部襲撃の足掛かりになっていた
シーモンは「影」に問題ないと嘘をつき、そしてシーワンにチャンスを与えていた
この段階で「影」はシーモンの目論見に気づいていて、そこからは「シーモンの送り込んだ傭兵との対決」が繰り広げられていく
冷遇されていると感じていたテウグオは、まさに「ホワンの切り札」であり、さらに彼女の踏み込み過ぎた一歩と言うものが致命傷にもなったりもする
かなりの知能戦にもなっていて、追撃任務の緊張感というものもうまく表現されていた
勝ち気に迫るテウグオを宥めるための回想シーンは胸熱の展開で、それをスタッフ全員が聞いていて決意を新たにするシーンも良かった
多くの犠牲者を出し、テウグオを想っていたジンシャオの殉職などもあった
ラストの集結にて、テウグオが「アルパカ」を想起するシーンがあるのだが、彼の後ろ姿だけが瞳に映っていると言う演出は涙なしには見られない
いずれにせよ、現代的なサイバー犯罪を取り扱いつつ、ラストが「前時代的な落とし所になっている」と言うのはうまい構成で、犯罪に対するジェネレーションギャップというものもうまく構成されていたと思う
暗号資産で12単語の入力が必要と言うのはMetaMaskなどで暗号資産を管理したことがある人なら知っていると思うので、経験者はニヤリとしてしまうシーンだと思う
最後の単語が「Escape」と思わせておいての「Escalate」と言うのもセンスが良くて、次作以降では「行方不明なのに警察のサーバーに管理されている15億米ドル」を中心に展開していくのだろう
今作ではモブに近かった局長あたりの活躍の場があると思うし、また脱獄すると思うので、さらなる「Escalate」を楽しめるのではないだろうか
そう言った意味において、20年は無理だと思うものの、続いて欲しいシリーズだなあと思った
全197件中、101~120件目を表示
映画チケットがいつでも1,500円!
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