「若ッキー・チェンから爺ッキー・チェンへ」シャドウズ・エッジ 酔爺さんの映画レビュー(感想・評価)
若ッキー・チェンから爺ッキー・チェンへ
【所感】
中学生のとき、校則に反して映画館に通い、「ドランクモンキー 酔拳」を10回観ました。酔っぱらって強くなるという斬新な設定のカンフー物で、私が惹かれたのは初めて見るジャッキー・チェン。それまでの香港の俳優とはどこか違うオーラを感じました。そして、アクションもダンスのような動きもあり新鮮でした。笑いはベタでしたが、ジャッキーの笑顔に合っていました。
そして、クラスでも「酔拳」の話題が出ていた時に、同級生に「ちょっとジャッキー・チェンに似ちゅうね。」と言われ(似てませんよ(笑))、調子に乗って髪を伸ばしたら、校則違反だと先生に怒られました。ところが、注意してきたその音楽の先生自身が長髪だったので、思わず指摘すると、次の週にはその先生が短髪になっていて、こちらも意地を張るわけにはいかず、仕方なく散髪したことを思い出しました。
ジャッキー・チェン。彼は、これまで体を張ってアクション映画の常識を塗り替えてきました。
「プロジェクトA」では命綱なしで時計台から落下し、「ポリス・ストーリー」ではショッピングモールの電飾を滑り降りました。
数々の骨折や大けがを重ねながらも、エンドロールではNG集で必ず照れたように笑う。痛みも失敗もすべて笑いに変えるのが、ジャッキー映画の魅力でした。
その彼が、今作では70歳を過ぎても果敢にアクションに挑んでいて、正直うれしい裏切りでした。最近のジャッキー映画では往年の激しいアクションをなかなか見ることはできなくなりました。ジャッキーの年齢もあると思いますが、コンプライアンスの世の中の影響もあるのかもしれません。
今作でも、そうなんだろうかと思って観ましたが、うれしい裏切りとなりました。自分は警察OBで若手に指示する役柄なのですが、途中までは若手中心のアクションで、次第にジャッキーメインのアクションも増えてきて、うれしかったです。
ジャッキーのアクションは、71歳とはとても思えない動きで、さすがに全盛期ほどではないものの、アクションのキレや間の取り方には、長年積み重ねてきたものがはっきりと感じられます。今の年齢でも、ここまでできるという覚悟が伝わってきました。
ジャッキーは、まじめな顔をしていると老けていますが、笑顔は昔のジャッキーに戻り、ほっとさせます。
本作で印象的なのは、レオン・カーフェイの存在です。かつてはすごいイケメンだと記憶しており、ネットで検索するとやはり超イケメンでした。その彼が、最初は誰だかわからないほど老けていて驚きました。
しかし、その老いた姿を逆手に取ったサイコパス役の熱演は圧巻で、スクリーンに立った瞬間の迫力はものすごいです。超人的に無敵で、若手とのアクションでも、年寄りいじめに見えないのがよかったです。宇崎竜童に似ています。
ジャッキーには、よく似ている息子のジェシー・チェンがいて、かつて映画にもよく出ていましたが、薬物使用で逮捕されました。
噂では中国政府と密約をして、刑期を軽くしてもらったということです。密約は「反日になる。」というもので、そのせいか、あれほどよく来日していたのに、パッタリと日本に来なくなり、発言も反日的になってしまって、しばらく日本から距離が置かれていました。
昨年の「ライド・オン」でひさしぶりに来日しましたが、息子の件に動きがあったのでしょうかね。
今作は、ジャッキー映画のこの10年間ではかなり上位の出来だと思います。上映時間は140分でちょっと長いですが、長いかなと感じた時点から怒涛の展開となるので大丈夫です。
ぜひ劇場で、若ッキー・チェンならぬ爺ッキー・チェンのアクションをご覧ください。
泣かせるシーンもあります。続編があります!
12/25 酔爺
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