「とにかくジャッキー・チェン!」シャドウズ・エッジ sow_miyaさんの映画レビュー(感想・評価)
とにかくジャッキー・チェン!
おもしろい!
シナリオもうまいし、「アクションのシチュエーションって、まだこんなにレパートリーあるの?」って驚かされる。
それより何より、とにかくジャッキー・チェン!
今作のジャッキーは、ちゃんと年輪を重ねた味わいに格別の尊さが感じられて、心の中で拝みながら観てしまった。
例えば、トム・クルーズは、今も変わらない無敵のイーサンなところが凄みだが、ジャッキーはちゃんと年を取り、歩き方もシニアのそれなのに、一旦アクションになるとすこぶる強い。
それは「若さを保って、一番強い時をキープし続ける」という西洋的な発想とは違う、年を重ねるほど円熟して悟りをひらく「老師」と呼ばれるような、東洋的な思想に依拠している別の凄みなのだと思う。
今回、バディを組むことになるチャン・ツィフォンとのやり取りも、自分は、どストライクにハマってしまった。
(ネタバレはしないが、まだ観てない人には、ちゃんとエンドロールも気を抜かずに観てほしい。グッと関係の感じ方が深くなる)
2025公開の中国・香港のアクション映画として、ドニー・イェンの「プロセキューター」がとてもハイレベルだったのだが、自分はわずかの差で、こちらを推したい。
「じゃあ、何で満点ではないの?」は、以下で。
<ここから内容とエンディングに触れます。未見の方は、ご覧になってからお読みいただくことをおすすめします>
・答えは、続編を作る気満々なところ。
そこが圧倒的にマイナス0.5。
正直、「もう、休ませてあげて」と思ってしまった。…生涯現役の時代かもしれないけどさ。
・あのラストシーンからの、ポストクレジットは、お腹いっぱい。せめて、ラストシーンまでで、含みを持たせて終わりでいいのに。
・ただ、それ以外はよかった。
受け取った映画のコンセプトは、「もうAIに任せておけばいいじゃん」「情報操作に抜きん出ている方が勝ちっしょ!」っていう空気感に対して、「修羅場を潜ってきているシニア世代を舐めんなよ!」「バーチャルじゃなくてリアルが大事なんだよ」ってものを見せながら、最終的には、「目的実現のためには、やっぱりいいとこ取りが大事だよね」っていうことなんだろうと思う。
これは、ありきたりと言えばそうかもしれない。でも、「自分の目や体ではなく、便利なデジタル機器を無条件に信頼し過ぎていないか」という問いかけや、「自分の感覚を研ぎ澄ますこと」の大切さは、大いに肯定できたし、「シニア世代も、なんでも否定的にならずに、時代にフイットしてこうぜ」ってことだと前向きに受け止めた。
・「影」を交えた、3人での会食場面が泣けた。
「誰にも話したことない」のに、ちゃんと彼が額の傷の理由を知っていたことを、あの場面で知った果果の表情と、それを笑顔で見守るジャッキーの表情を見たらもうダメだった。
「影」だって心が動いたのだろうけれど、そこで情に流されない「影」だったからこそ、その後の行動が全て理解できる。
そうした明確さに惹かれるのか、完全なヴィランにも関わらず、児童養護施設の場面では、ちょっと心の中で応援してしまう自分もいた。
・続編はいらない派だけど、つくられたら観に行ってしまうだろうと思うくらい、いい作品だった。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。


