「アクションスターとして覚醒したレオン・カーフェイの悪役ぶりが堪能できる」シャドウズ・エッジ tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
アクションスターとして覚醒したレオン・カーフェイの悪役ぶりが堪能できる
監視カメラとAIを駆使した捜査システムを撹乱しつつ、4人の強盗犯が、アクロバティックな身のこなしで警察の追跡をかわしていく冒頭のアクションシーンから、一気に作品の世界に引き込まれる。
サイバー犯罪に、昔ながらのアナログな追跡術で立ち向かおうとするアイデアは面白いし、ジャッキー・チェン演じる老刑事と、彼の因縁の相手である若い女性刑事とのバディぶりも楽しめた。
街中でチラリと横顔を見かけただけで、不鮮明な写真しか手掛かりのなかった「影」を特定してしまうというのは、いくらなんでも話ができ過ぎているが、その後の、彼が住むアパートの部屋までの追跡劇は、ゾクゾクするようなスリルとサスペンスを味わえたし、老刑事や女性刑事と「影」との交流ぶりも、ヒリヒリするような緊張感に溢れていて見応えがあった。
アパート内での老刑事と刺客との格闘に続いて、傭兵部隊による警察本部の襲撃と、養護院での「影」と殺し屋達との激闘が並行して描かれる中盤の見せ場も、アクション映画としての醍醐味を堪能できるし、「影」と息子達との確執が浮き彫りになる展開からも目が離せなくなる。
何よりも、二枚目のイメージが強かったレオン・カーフェイが、すっかり老け込んだ上に、悪役を演じていることには驚かされたし、狡猾で冷酷な暗殺者ぶりが、思いのほかサマになっていることにも、二度、驚いてしまった。
当然、スタントを使っているとは言え、歳の割には体も良く動いているし、何十人もの殺し屋をナイフ1本で血祭りに上げていく鬼気迫る姿や、ジャッキー演じる老刑事と肉弾戦で互角に渡り合う様子からは、「第二のリーアム・ニーソンか!」と思えるほどのアクションスターぶりを感じ取ることができた。
彼が演じる「影」のキャラクターにしても、養護院で逮捕されたかと思ったら、警護の警察官達をなぎ倒して逃走し、老刑事との一騎打ちで、ようやくカタがつくのだろうと思ったら、なんとジャッキーまでも倒して逃走するなど、そのしぶとさとしつこさは呆れるばかりで、逆に、ヴィランとしての強烈な魅力を放っていたように思う。
てっきり、何かの伏線になるのかと思っていた「警察官として市民を助けたことによる任務の失敗」というエピソードが、台詞の形でしか回収されなかったことには物足りなさを感じなくもないが、それでも、チームとして結集した警察の面々が敵を包囲するラストの展開には、思わず胸が熱くなってしまった。
もう一つの伏線かと思われた、「影」の息子が死ぬ間際に呟いた英単語の意味は、どうやら次回作で明らかになるようなので、今は、それを、楽しみに待つことにしよう。
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