「矛盾なのか超展開なのかがわからない」シャドウズ・エッジ 大雪さんの映画レビュー(感想・評価)
矛盾なのか超展開なのかがわからない
正直、「そんなにいい映画か?」と思った。
善(ジャッキー・チェン、警察官)と悪(レオン・カーフェイ、強盗団)の両面からドラマを進めるという筋立てはすごく良かったと思うが、積載量をオーバーしている印象を受けた。
女性警官が努力と忍耐によって手柄を立てていくサクセスストーリーと、犯罪者集団の任侠ものという二つの側面があり、複雑な構成をしている。
レオン・カーフェイが息子として愛した双子(実は三つ子だったけど)の孤児を殺す流れがわかりにくい。観終わった後にしばらく頭の中で整理しないと繋がらなかった。テンポを良くし過ぎて繋がってこない雰囲気で楽しむ映画な気もするが、それにしても芯になる部分は丁寧にやってほしかった。
真に正面から向き合って親子のようになったジャッキーと女性警官に対し、レオンは暴力によって孤児たちを従えていた、なら対比としてわかりやすいと思う。
のだが、レオンはレオンで愛情を持って接していたので、それがストーリーがわかりにくい大本だと思う。感情が矛盾しているような気がするし、画を優先してすっ飛ばした展開にしている部分も多い。
犯罪者の四人がアイドルグループみたいなイケメン集団で過剰過ぎるくらいの細かなカット割りでアクションを魅せていく冒頭のシーンに、一番違和感を感じた。捕まる時は見せ場なく呆気なく逮捕されてるし、「すごくカッコいいけど大したことしてないな」と思ってしまった。あと、殴り合いをしているのに顔が綺麗すぎる。
あと、ラストシーンで捜査チームがレオンを追い詰めるシーンは日本の刑事モノみたな演出と音楽の入り方をしていて苦笑してしまった。レオンは追い詰められる前に戦って切り抜けたらいいじゃん、と少し冷めた気分。
ジャッキー映画は「フォーリナー」で失望したが、今作ではシリアスながらもどこか懐かしいコミカルな要素もあってそこは良かった。
いや、けど、やっぱりライフルを握るジャッキーは……見たくなかった……かも。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。
