劇場公開日 2025年12月12日

「これぞ現在のジャッキー映画の理想形!」シャドウズ・エッジ バラージさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5 これぞ現在のジャッキー映画の理想形!

2025年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

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いやぁ~、面白かった! ジャッキー映画では00年代の『香港国際警察 NEW POLICE STORY』とか『新宿インシデント』以来の傑作なんではなかろうか。

2007年の香港映画『天使の眼、野獣の街』(未見)のリメイクというかリブートで、2013年には韓国でも『監視者たち』(未見)としてリメイクされているとのことだが、その『天使の眼、野獣の街』を中香合作で現代的にリブートした作品だそうだ。監督は『ライド・オン』でもジャッキーと組んだ中国監督ラリー・ヤン。『ライド・オン』もなかなか面白かったが、今回のはそれをはるかに上回る出来である。

とにかく脚本がめちゃくちゃよく出来ている。冒頭の犯罪集団による仮想通貨強奪がまず素晴らしく、スリリングな展開と度肝を抜くアクションで息もつかせぬ描写に惹きつけられていく。そこから警察と犯罪集団の息づまる情報戦・追跡・尾行・腹のさぐりあいといった攻防戦が詳細に描かれていき、ハラハラさせられるサスペンスフルな展開に。その合間に捜査官と若手女性警官の過去の因縁が絆へと変わっていくドラマと、“影”と若い犯罪集団の愛憎劇という、2つの疑似親子関係が重要なストーリーのポイントとなっていく。終盤は怒涛のアクションつるべ打ち。ストーリーもここが山場かと思いきや、まだ先があったというのが何度も繰り返されるが、やり過ぎ感やマンネリ感が全く無く、むしろ新たな山場が前の山場を軽々と超えていき、140分という長さを全く感じさせない。ダレるところが一瞬も無かった。マカオという舞台がまた良く、ロケーションも最高なのだ。

ジャッキーは年齢的に超絶スタントこそさすがに無いものの、中盤あたりから若手たちとの凄絶なバトルを展開する。しかしジャッキー以上にすごいのが“影”役のレオン・カーフェイ。アクション俳優ではない彼がナイフを使ったアクションで伝説の凄腕殺し屋ぶりを遺憾無く見せつけ、ジャッキーとのラストバトルも70代と60代の闘いとは思えない凄まじいファイトを見せてくれる。そして若手女性警官役のチャン・ツィフォン。天才子役から若手演技派女優に成長し、『チィファの手紙』『シスター 夏のわかれ道』でも好演してたが(『シスター』では中国三大映画賞の1つ華表奨で最優秀女優賞を史上最年少受賞)、まさか演技派の彼女があんなにアクションに挑戦するとは思わなかった。この映画の影の主人公というか実質的主人公とも言えるような役柄で、可愛くて演技も上手い上にアクションも出来るなんて最強じゃんか。“影”が育てた若い犯罪集団のイケメンたちも素晴らしいアクションと演技だし(特に双子を1人2役で演じたツーシャー)、その他脇役に至るまで全員が過不足ない見せ場が与えられており、いずれも素晴らしくハマってる。アクション、サスペンス、ドラマの全てが融合した近年稀に見るレベルの傑作アクション映画でした。予告編を観て期待できそうと思ってたが、それ以上の面白さだった。もう1回観ようかな。

ちなみにジャッキー映画でお馴染みエンディングでのNG集もあるが、その後にもシーンがあって、続編もあり得るようなエピローグになっていた。ま、とにかくこれは文句なしにオススメです。

バラージ
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