劇場公開日 2025年12月12日

「大御所のお二人は正に尊い(たっとい)の一言」シャドウズ・エッジ TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5 大御所のお二人は正に尊い(たっとい)の一言

2025年12月15日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

今回は、期限が迫るU-NEXTのポイント消化に丁度いい作品を探した結果、本作が“意外にも”米国映画レビューサイトの評価が高いことに気づいて鑑賞を決定。と言うことで、失礼ながら期待値は“程々”にTOHOシネマズ錦糸町に向かいます。
作品は犯罪グループによる侵入から始まり、いきなりに集中力が試されます。AIを導入し、鉄壁に見える警察側の警備に対し、犯罪グループはハッキングで対抗して警察の裏を突いて捜査の網を掻い潜ります。ただ、こう書いてしまえば“有りがち”なサイバー犯罪モノだろうと鼻で笑われそうですが、そこはジャッキーの新作なのですから勿論ナメてかかってはいけません。警察側も遅れを取り戻すべく、形勢を立て直しながら犯人へ迫りますが、それを嘲笑うような逃走は、序盤からアイデアの出し惜しみをせず、次々と繰り出されるアクションはスピード感、激しさ、美しさを兼ね備えていて興奮が止まりません。そしてその結果、システム侵入を許した上に手掛かりすらつかむことなく犯人を取り逃した警察は、既に引退したレジェンド・黄徳忠/ホワン・ダージョン(ジャッキー・チェン)に捜査協力を求め、黄独自による人選、指導、戦術によって“謎の相手”を追う日々が始まります。
まずは作り手側について、犯罪の規模こそ大きいわりに、少数精鋭ながらキャラが立った犯罪グループの完成度の高さ、そして対する警察だって要所に腕っこきを配置しており、その絶妙なバランスは終始「いま一歩で追いつけない」と感じさせる巧さを感じます。そして、いよいよ警察側の反転攻勢かと思ってからの敵味方すら判らなくなる混沌、そしてまさかの展開を生む要素もまた設定されたキャラクターのなせる業。141分とアクション映画としてはやや長めですが、飽きることなく最後まで楽しんで観続けられます。
そして出演者側について、今回のジャッキーの相棒・何秋果/ホー・チウグオを演じるのはチャン・ツィフォン。『チィファの手紙』で彼女を知り、『シスター 夏のわかれ道』は“彼女目当て”で劇場鑑賞をしましたが、まさかアクションとは結び付かないような華奢で地味(可愛い)印象に半信半疑。ところが、相当に努力しただろうことが想像に難くない程に動けて、しっかりとキレや重みも感じる攻撃など見事で素晴らしい裏切りに大変恐れ入りました。
無論、言わずには終われないのが大御所のお二人について。本作のラスボス・傅隆生/フー・ロンションを演じるレオン・カーフェイと、みんな大好きジャッキー・チェンのアクションが年齢を一切感じさせないばかりか、最早“度を越えている”としか言えません。更に、このお二人については、本作における裏テーマである“世代間摩擦”についても大いに背負われており、言うまでもなく演技も当然に素晴らしい。お二人の存在、正に尊い(たっとい)の一言です。感謝です!

TWDera
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