「圧倒的な映像センス・風景・衣装が素晴らしい! 「ビジュアル」と「スタント」(落ちる)という「映画の原点」へのオマージュ」落下の王国 4Kデジタルリマスター ITOYAさんの映画レビュー(感想・評価)
圧倒的な映像センス・風景・衣装が素晴らしい! 「ビジュアル」と「スタント」(落ちる)という「映画の原点」へのオマージュ
素晴らしい!圧倒的な映像センスで語る、「ビジュアル」と「スタント」(落ちる)という「映画の原点」へオマージュを捧げた作品。
オープニングのモノクロのビジュアルからして画面の画力、絵の語る力が強い。
監督はきっと、映画の主人公の少女の視点のように、
小さいことにも、常に子供のような好奇心を持っているのではないか。
まるでカメラのように、ドアの鍵穴を通して、景色が天地逆に壁に映し出される場面でも、それがわかる。
男から語られる想像の物語の映像センスは、圧倒的なものがある。
「13の世界遺産24か国以上」のロケ撮影、「ドラキュラ(1992年)」でアカデミー賞衣装デザイン賞を受賞した石岡瑛子の衣装デザインが素晴らしい。
これだけは、実際に観ないとわからない。
そして、その物語は、ただストーリーを語るものではなく、あくまでも、少女に聴かせるために話している。
そのために聴き手の反応をみながら、話しながらそのディテールも変わっていく。
最初はある目的のための話が、あることをきっかけに、男の現実の心情を過大に反映させ、悲劇に落ちていく。
やがて少女も物語に入り込み巻き込まれながら、その世界を救おうとするが・・・。
この展開で、小さい女の子が追い詰められていくために、本当にかわいそうになってくる。
単なるファンタジーではない残酷な世界。
ここにも単なるビジュアルだけではない物語が作られている。
どうしても映像に目が行くが、実は、タイトルバックにもある「落ちる」ことに代表されるスラップスティック・コメディの始祖に対するリスペクトが、もうひとつのテーマだった。
物語を語る男も、聴く少女も、「落ちて」入院した。
そして、エピローグではストレートにそれが語られる。
意外やこれまでの中に数々の伏線が、ちりばめられていたことにも気付かされ、納得する。
ここもうまい。
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